2026.05.12
- 海外事業
トランプ政権の政策変化と設備エンジニアリングサービスの役割

トランプ大統領が掲げる「製造業回帰(製造業ルネサンス)」の戦略は、アメリカ国内のみならず、各国企業の投資計画やサプライチェーンに大きな影響を与えています。特に、設備投資や生産拠点の再編が進む中で、米国向けの設備輸送や設置に関する課題が注目されています。
本コラムでは、政策の背景と鈴与が提供する設備エンジニアリングサービスの役割について、最新情報を踏まえて解説します。
トランプ大統領が掲げる「国内製造回帰」戦略と狙い
トランプ政権は2024年選挙戦を通じて、次のような高関税構想を公表していました。
・中国への最大60%の追加関税
・世界各国への10~20%のベースライン関税
・メキシコ・カナダへの25%の追加関税案
こうした施策には、以下のような狙いがあります。
①米国内への生産回帰を促進
高関税によって海外で生産して米国に向けて輸出するよりも、「米国内で生産した方が有利」という状況を作り出す狙いがあります。
②米国内の雇用改善と産業基盤の維持
製造業を国内に戻すことで雇用を増やすとともに、国内産業の競争力を強化する目的があります。
具体的な政策(2026年3月時点)
2025年にトランプ大統領が就任後、トランプ政権の政策は次々と更新されました。 2026年3月時点の最新情報は以下の通りです。
① IEEPA追加関税の違法判決
2026年2月20日、米最高裁は大統領の緊急権限(IEEPA)を使って課された追加関税を「違法」と判断し、トランプ政権が2025年に導入したIEEPA追加関税はすべて無効化されました。
②新たに導入された課税政策
IEEPA施策の失効を受け、政府は通商法122条を根拠に、全輸入品に対する一律10%の暫定的な割増課税が導入されました。 本政策は当初のベースライン関税案に近い実質的措置と捉えられています。
③対中国の関税政策
IEEPA失効後も、通商法301条に基づく制裁関税は保持され、EVなど特定分野では100%を超える非常に高い関税が適用されています。
④USMCA対象国でも規則違反で追加関税
北米自由貿易圏の中心であるメキシコ・カナダに対しても、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の原産地規則を満たさない場合、25%の追加関税対象となる仕組みが導入されています。
⑤関税以外の国内製造支援策
・国内生産の企業を対象に、法人税率の引き下げ(21% → 15%構想)
・設備投資を後押しする減価償却ルールの緩和
・石油や天然ガスの増産支援により製造業のエネルギーコストを削減
・外国企業の誘致を担当する専門ポストを新設し、外国企業のアメリカ進出を促進
日本企業に与える影響
これらの政策は、アメリカ国内の雇用の増加や経済活性化を促進しますが、アメリカと経済的結びつきの強い日本企業に大きな影響を与える可能性があります。
こうした企業にとって、関税引き上げは輸出製品価格の高騰により価格競争力が低下する恐れがあり、コストやサプライチェーンの見直しが必要となります。
一方、今回の製造支援策は、アメリカ国内での生産能力強化や設備投資を進める絶好の機会です。
JETROが2025年11月に実施した調査によると、今後3年で最も重要な輸出先として「米国」を挙げた企業は27%に達し、過去7年で最高水準となりました。日本企業の間で、米国市場への関心が改めて高まっているといえます。
設備輸送サービスのご紹介
企業が米国内へ設備投資を進める中で、課題となるのが「設備の輸送と現地での設置作業」です。
新たな設備の輸送および設置作業や、既存設備の移設作業を確実に推し進めるためには、輸送実績や作業実績などのノウハウが必要になります。
一般的な物流会社の設備輸送では、設備を梱包工場で受け取り、輸出梱包から輸送、納入先への配送まで行います。
一方、鈴与の「設備エンジニアリングサービス」では、経験豊富な専門チームが設備の解体から設置工事まで、全工程を一貫してサポートします。
また、サプライヤー、生産技術部と調達部門の各種調整業務や設備の分解・復元の指示書作成、通関手配の準備などの業務を代行することで、お客様に寄り添ったサポートをいたします。米国向けでは自動車関連、食品関連など実績も豊富です。
設備エンジニアリングサービスの詳しいサービスについては以下のページでご紹介しています。
▶設備エンジニアリングサービスページ
また、設備輸送の手順については以下のコラムで詳しく説明しています。
▶コラム:設備輸送担当者必見!海外へ設備を輸送する際の手順をご説明します
まとめ
トランプ政権による米国の製造業回帰政策は今後も継続すると見込まれ、企業の生産体制や設備投資の判断に大きな影響を与え続けると考えられます。
鈴与は、設備輸送・解体・据付・調整業務・通関までワンストップで対応できる体制を整えており、米国向けのプロジェクトにも多くの実績があります。
米国での設備導入・工場立ち上げをご検討されている企業様、また拠点再編に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。お客様のプロジェクトに合わせ、最適な支援プランをご提案いたします。
お問い合わせはこちら
▶参考資料
・日本経済新聞 : トランプ氏「法人税率15%に引き下げ」 大統領選へ減税公約 歳出減、マスク氏起用
・日本貿易振興機構(JETRO) : トランプ米次期政権の関税政策の行方、シンクタンクの専門家が解説
・一般社団法人 神戸貿易協会 : 米国トランプ政権の関税政策の要旨(JETRO)
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