2024.04.17
- 国際輸送
設備輸送担当者必見!海外へ設備を輸送する際の手順をご説明します
製造業の企業が生産体制を海外で構築する際には、生産設備の海外輸送が不可欠です。
海外に設備を輸送する際には多くの手順を踏む必要があり、細心の注意を払いながら円滑かつ確実に輸送手配を進めることが重要です。今回は海外に設備を輸送する際に企業が知っておくべき基本的な手順や、それぞれの手順で留意すべき点についてご説明します。
特に見落としがちなポイントをチェックポイントとしてまとめていますので、実際に設備輸送を計画される際にお役立てください。
▶資料:設備エンジニアリング
設備輸送の手順①:出荷前準備
(1)対象設備の確定
設備の輸送を計画する際には、輸送対象となる主要な機器だけでなく、関連する部品やユニットを決定することが大切です。さらに、機器の動作を確認するために必要な試験用のサンプルなども、細かく把握することが重要です。
輸送対象を正確に決定することは、輸送にかかる総コストを計算する上で必要不可欠となり、全体のプロジェクト計画を立てる際にも欠かせないものとなります。
チェックポイント
・関連する部品やユニット、試験用のサンプルまで輸送対象として把握しているか
(2)輸出入規制の確認
設備を海外に輸出する場合、輸出対象の設備が外国為替及び外国貿易法などの法律に抵触しないかを慎重に確認する必要があります。
特に中古の設備を輸出する際には、輸入国によって設定されている製造からの年数制限や特定の設備への規制などが異なることが多く、これらの国ごとの規則に適切に対応することも求められます。
注意すべき点として、規制対象となる設備を適切な許可を得ずに輸出したり、技術を提供したりする行為は外国為替法に違反する可能性があります。その結果、行政上の罰則や刑事罰に処されるリスクがあるため、事前の徹底した確認は不可欠です。
チェックポイント
・対象の設備が外国為替および外国貿易法などの輸出規制に抵触していないかを確認したか
・中古設備を輸送する場合は特定の設備への規制を確認したか
(3)日程の検討や確定
設備の移設に際しては、特に、目的地で予定通りに設備が稼働できるようにすることが大変重要です。設備が予定通りに稼働できない場合、その後の生産計画に深刻な遅れが生じてしまう可能性があります。これを避けるためには、関係するすべての部門や関係企業とのスケジュール調整を丁寧に、かつ確実に行うことが求められます。
チェックポイント
・出荷の日程から据付完了の日程まで計画ができているか
(4)必要資料の準備
設備の図面や出荷リストなど移設する設備の関連書類などが揃っているか、または準備が可能かを確認する必要があります。これらの書類が揃っていると、移設を輸送会社に依頼する場合、見積依頼や実際の作業が円滑に進められます。
チェックポイント
・設備のレイアウト図面、設備図面、輸送に関する出荷リストが揃っているか
(5)梱包形態の確定
一度出荷した設備は長い時間、温度/湿度の変化や振動などの外的負荷に耐えなければなりません。外的負荷だけではなく、設備の大きさや特性、輸送のスケジュール、コストなどを考慮した梱包方法の確定が必要となります。
チェックポイント
・設備の形状/大きさや重心位置などを考慮した梱包方法となっているか
(6)輸送会社の選定
大切な設備を確実に目的地まで届けるため、信頼のおける輸送会社の選定が必要です。輸送会社を選ぶ際には、費用のみならず、その会社の過去の実績や、国内外で提供されるサポートの充実度を総合的に考慮して決定することが大切です。
チェックポイント
・対象となる設備(類似設備)に対する輸送実績はあるか
設備輸送の手順②:輸送
(1)出荷の対応
設備を海外に輸送する場合、主な輸送手段として海上コンテナで輸送する方法がありますが、この場合はコンテナのサイズに合わせて設備の分解をする必要があります。
この分解作業を行う場合、自社で行うのか、または専門の会社に依頼するのかも慎重に比較検討をした方が良いでしょう。
※専門の会社には、さまざまな種類の設備に対する取扱実績や豊富な知識、高い技術を持った作業者がいます。そのため、分解作業は安全かつ効率的に行うことが可能です。また、分解作業を専門の会社に依頼することで自社の従業員による分解作業が軽減できれば、工数の削減にも繋がります。
チェックポイント
・輸送にあたって設備の分解は必要か、分解作業が必要な場合、自社で行うか専門会社に依頼するのかを検討/決定したか
(2)梱包
専門の梱包会社に依頼して梱包を実施します。通常は梱包会社の施設で作業が行われますが、設備の特徴や仕様により搬入が困難な場合は、自社の工場やサプライヤーの施設で行う出張梱包サービスを選択することもできます。
チェックポイント
・設備全体、または設備を構成するユニット/部品単位における注意点などメーカーに確認したか
(3)輸送
一般的には輸送会社へ委託する形で海上、航空、鉄道、トラックなど適切な輸送手段を複数組み合わせて設備を輸送します。
設備が大型であるなどの特殊な場合は輸送手段も限られることもありますので、運送会社に事前に確認し、適切な手配を行うことが重要です。
チェックポイント
・想定している輸送手段で設備が輸送できるかを運送会社に確認したか
設備輸送の手順③:設置
(1)受入れの準備
移設先では梱包された状態で貨物が届くことが一般的なので、開梱作業を行う場所が必要となります。設備を設置する予定の場所をあらかじめ確認しておくことで、移設後の作業がスムーズに進行します。
また、到着後の開梱から設置、組み立て、廃材の処理までをカバーする現地の作業会社を手配することが不可欠です。
※移設先の環境に応じて、特定の作業エリアの指定や工場内規則が設けられている場合があるため、これらの詳細については事前にきちんと確認しておくことが大切です。
チェックポイント
・開梱作業を行う場所や設備の設置場所を事前に確認したか
・手配範囲(開梱、設置、組み立て、廃材の処理)を確認したか
(2)現地作業の対応
移設先での作業には、設備の設置や出荷時に分解された部品の組み立てなどのプロセスを監督し、所定の期限内に作業を完了させるための進捗管理が求められます。また、予期せぬトラブルが発生した場合には、それに対処する必要があります。
チェックポイント
・進捗を管理するための工程表などは揃っているか
・予期せぬトラブルが発生した場合の連絡先などの体制は整っているか
▶資料:設備エンジニアリング
鈴与の設備エンジニアリング
海外での設備輸送には多数の手順と留意すべき点があることをご理解いただけたかと思います。
鈴与は出荷時の解体から設置工事までを一貫して行う、経験豊かな専門チームを有しています。
解体から設置までの全工程を一手に引き受けることで、お客さまの負担を軽減します。特にトラブルが発生しやすい中古設備についても、現地の輸入規制対応を全面的にフォローしています。
また3Dシミュレーターを活用してコンテナ積載効率を最大化したり、解体した設備をドライコンテナで輸送できるようにするなど工夫したりすることによって、コストの削減にも貢献します。
鈴与は高度な技術と豊富な経験を活かし、お客さまのグローバルなビジネス展開をサポートします。
サービスページでは導入事例もご紹介しているので、ぜひご覧ください。
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