2023.12.04
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リードタイムとは?物流業界における意味や種類、リードタイム短縮方法を解説します
リードタイムとは簡単にいうと、各工程の始まりから終わりまでにかかる時間のことを指します。
リードタイムという言葉はさまざまな業界で使われていますが、今回は物流業界におけるリードタイムに焦点を当て、その意味や種類、短縮方法について詳しく解説します。
リードタイムとは
リードタイムとは広い意味では各工程の起点から終点までにかかる所要時間のことを言い、その工程が何を指すのか、何をもってリードタイムとするのかは業界によって異なります。
物流業界においてのリードタイムとは、商品やサービスを発注してから納品されるまでにかかる時間や日数のことを指します。
よく似た言葉に納期がありますが、納期はあくまでも◯月◯日までに納品してほしいという期限です。一方、リードタイムは具体的に商品が発注されてから、納品完了までの具体的な期間となります。なお、物流業界においてリードタイムは日数で表されます。
リードタイムの種類
リードタイムは前述のとおり商品やサービスを発注してから、納品されるまでにかかる時間や日数のことを言いますが、物流業務においては、リードタイムを4つの種類に分けることができます。
(1) 配送リードタイム
配送リードタイムは、商品を出荷、つまりトラックなどに積み込んでから納品先に商品が届くまでの所要時間のことを指します。EC・通販サイトなどでよく見かける通常◯~△日でお届けといった配送期間は、この配送リードタイムを指すことが一般的です。
また、より大きな括りで、商品を出荷する時点からではなく、受注から納品までの所要時間を指して出荷リードタイムという場合もあります。
(2) 生産リードタイム
生産リードタイムは、生産の発注を受けてから出荷するまでの所要時間のことを指します。3つ目にご説明する製造リードタイムと混同しがちですが、違いは生産リードタイムの場合は生産完了後から出荷するまでの時間も含まれているという点です。
(3) 製造リードタイム
製造リードタイムは、工場などで製造の発注を受領し、商品の製造を開始して受注された数の製造工程が完了するまでの所要時間のことを指します。なお、ここでは製造している時の所要時間だけではなく、途中で製品を作るための素材・部品などが不足してしまい、調達するまでに待ち時間が発生した場合の待ち時間もカウントされることが一般的です。
(4) 調達リードタイム
調達リードタイムは、製品の製造に必要な素材などを発注してからその発注した素材などが納品されるまでの所要時間のことを指します。輸送にかかる時間はもちろんのこと、素材などが納品されてから検品を行う場合はその検品にかかる時間も含まれます。
リードタイム短縮によるメリット
基本的にリードタイムは短い方が良いものとされています。
その理由としてまず顧客目線で考えると、リードタイムが短い方が商品やサービスを欲しいと思った時から実際に手元に届くまでの時間が短くなるため、サービスの満足度の向上に繋がります。
特に、EC・通販においては、配送リードタイムの短縮が顧客満足度の向上に直接繋がります。
▶コラム:EC・通販のリードタイム短縮のメリットは顧客満足度の向上だけにあらず!短縮方法も解説します!
企業目線で考えると、リードタイムが短い方が多くの在庫を抱える必要がなくなります。抱える在庫の量が減ると、在庫を保管しておくための倉庫のスペースも抑えることができ、在庫を管理するために必要な人員の数も減り、人件費の削減にも繋がります。また、時間の経過とともに商品の質が劣化するような食品などの商材であれば、リードタイムが短いほど商品を破棄するリスクを減らすこともできます。
顧客へ商品やサービスをスピーディーに提供できるようになれば、顧客満足度の向上に繋がるだけでなく、より多くの顧客に機会提供できるようにもなり、売り上げの向上が期待できます。
リードタイムの短縮方法
リードタイムを短縮することのメリットをお分かりいただけたでしょうか。本章では、第2章でご説明した種類ごとに、リードタイム短縮の方法をご説明します。
(1) 配送リードタイムの短縮方法
配送リードタイムの短縮方法としては、まず自社で配送を行っているかどうかがポイントとなります。自社で輸送を行っている場合は、現在の輸送ルートを見直すことで時間の短縮が可能なケースがあります。
また、輸送業者に依頼をしている場合は、業者の見直しも必要です。配車の手配にどれくらい時間がかかるのか、トラックのみを使用しているのか、フェリーや飛行機も使用するのかといった輸送手段なども比較してみると良いでしょう。
(2) 生産リードタイムの短縮方法
生産リードタイムの場合は、製造工程が完了してから出荷までの時間が含まれるため、3つ目で説明する製造リードタイムにおける問題点の改善のほかに、倉庫管理における問題点に注目することが大切です。
例えば、倉庫内でのピッキングがスムーズに行えるように動線の見直し、繁忙期には人員を増員するといった方法も考えられるでしょう。
(3) 製造リードタイムの短縮方法
製造リードタイムでは、人員の増員や生産設備を最新のものにするといった方法での時間短縮が可能です。そのような方法以外にも、人員の適性を見極めて配置を見直すだけで作業効率が向上するケースもあります。
また、先にお伝えした通り、製造リードタイムには素材などが不足した場合の待ち時間も含まれます。そのため、素材の在庫を切らさないような管理体制の見直しも検討すると良いでしょう。
(4) 調達リードタイムの短縮方法
調達リードタイムについては仕入れ先の都合などもあるため、自社の努力だけでは短縮が難しい部分もあります。ただ、例えば海外から素材を調達するのであれば、予想より大幅に時間がかかるケースも考えられます。調達リードタイムが長くなるとその後の工程全てに影響が出るので、自社でできることとして、余裕を持ったスケジュールを立てるなどの対策があります。
▶資料:コスト・リードタイムを低減するポイント
鈴与のリードタイム短縮に繋がるサービス
リードタイムを短縮するには工程ごとにボトルネックとなっている箇所を見つけることが重要ですが、物流業務をアウトソーシングすることで、リードタイムが最適となる物流体制を物流のプロに提案してもらうことができます。
最後に、鈴与の配送リードタイム削減に繋がるサービスと、倉庫運営の取り組みをご紹介します。
(1) 最適立地シミュレーション
配送リードタイム、調達リードタイムを短縮するためには、拠点立地を見直すことが重要です。例えば、EC・通販物流の割合が大きい場合、主たる納品先は東京の事業者さまであることが多いでしょう。現在の物流センターが東京近郊でない場合、多くの納品先がある東京近郊に拠点を変更することで配送リードタイムを大幅に短縮できる可能性があります。
鈴与では、お客さまから受領した物流データを基に、独自のシミュレーションシステムを使い、納品リードタイムと配送コスト・保管コストがともに最適となる拠点立地を分析しお客さまにご提案しています。
▶コラム:物流コスト削減のヒントは拠点立地の見直しにあり?!EC・通販物流における倉庫の最適立地とは?
(2) サブデポ
サブデポとは、納品先の近隣に配送拠点を設けることにより、安定的かつ持続可能な配送体制の構築を可能とするサービスです。
納品先と物流拠点がかなり離れているお客さまにとって、納品先の近くに配送拠点を別途設けることは配送リードタイムの削減に繋がります。
また、長距離輸送が発生している場合、2024年4月以降さらに配送リードタイムが長くなることが考えられます。納品先の近くに配送拠点を構えることは2024年問題対策としても有効です。
サブデポについては下記コラムでも詳しくご説明しています。
▶コラム:納品リードタイムの削減で2024年問題のソリューションにも!サブデポとは?
(3) 物流作業の機械化
倉庫内での作業を効率化するため、AMR(自動走行搬送ロボット)やAGV(無人搬送車)、自動梱包機などの最新技術を導入した物流現場の構築を行っています。人手不足が懸念される中でも、高品質な物流サービスを持続的にご提供できるよう、お客さまの物流に合った機械を取り入れたご提案をしています。
▶鈴与の3PLソリューション
(4) 拠点ネットワークの活用
鈴与は全国140カ所で物流センター・倉庫を運営しています。物流波動が大きい場合でも、お客さまの繁忙期には近隣の拠点と調整して人員を確保することで、物量の増加によってリードタイムが伸びてしまうことのないよう対応しています。
▶資料:鈴与の拠点一覧
リードタイムを短縮することは、顧客満足度の向上や自社のスペースの圧縮に繋がるだけでなく、物流を最適化することで配送コストの削減や輸送時のCO2排出量の削減にも繋がります。
また、2024年4月より、法改正の影響でリードタイムが長くなる恐れがありますが、今のうちに現状のリードタイム短縮を目指して改善することで2024年4月以降の対策にもなります。
▶コラム:2024年問題に対する鈴与のソリューションをご紹介します
自社だけで物流の最適化を目指すことに難しさを感じている方、リードタイム短縮に課題を感じている方はぜひ鈴与にご相談ください。
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