2025.02.06
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物流関連二法とは?物流総合効率化法・貨物自動車運送事業法の概要や改正内容を解説します!
2024年5月15日に物流業界の効率化や持続可能性の向上を目指して「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」が公布されました。
本コラムでは、改正の背景と改正内容、改正に向けた事業者の対応策について解説します。
物流関連二法とは?
物流関連二法とは、物流業界の効率化や持続可能な発展を目的とし制定された「物流総合効率化法 」と「貨物自動車運送事業法」の2つの法律を指します。
(1) 物流総合効率化法
物流総合効率化法は、貨物の小口化・多頻度化などへの対応や環境負荷の低減、流通業務に必要な労働力の確保などの目的で制定されました。
物流総合効率化法のポイント
①物流効率化事業の支援
物流総合効率化法では、輸送網の集約や輸配送の共同化、モーダルシフトといった環境負荷の低減及び省力化に資する事業を認定し、事業が認定されると事業の立ち上げ支援や税制特例、金融支援を受けることができます。
②荷主と物流事業者の連携強化
物流総合効率化法では、発荷主だけでなく着荷主や物流事業者が連携し、サプライチェーン全体での効率化を目指す取り組みが推奨されています。例えば、物量の平準化やパレットなどの活用による荷役の効率化が挙げられています。
(2) 貨物自動車運送事業法
貨物自動車運送事業法は、トラック運送業界の適正化と安全性向上を目的として制定されました。その後、労働環境の悪化や新規参入が増加したことによる過当競争への対応を求めて改正が進められています。
物流関連二法改正の背景
2024年4月から働き方改革に関する法律が自動車運転の業務にも適用されましたが、何も対策をしなければ輸送能力が2024年度には14%(4億トン相当)、2030年度には34%(9億トン相当)不足し、物流の停滞が懸念されています。
こうした状況に対応するために、荷主企業、物流事業者、一般消費者が協力して商慣行の見直しを行うことや、物流を効率化することが求められています。
また、軽トラック運送業において死亡・重傷事故件数が増加していることから、安全対策の強化も求められています。
こうした背景から、物流関連二法の一部を改正する法律が2024年5月に公布されました。
この2つの法律の改正により、物流の生産性を高めるための体制が整えられ、さらに安全で効率的な物流の実現が期待されています。
物流関連二法の改正内容
①物流総合効率化法
荷主・物流事業者に対する規制的措置
荷主・物流事業者に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課し、国が策定した判断基準に基づいて指導・助言、調査・公表を実施するとしています。
また、一定規模以上の事業者(特定事業者)に対し、中長期計画の作成や定期報告などを義務付け、中長期計画の実施状況が不十分な場合は国が勧告・命令を実施します。さらに、特定事業者のうち、荷主には物流統括管理者の選任が義務付けられます。
②貨物自動車運送事業法
トラック事業者の取引に対する規制的措置
元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務付けられます。また、運送契約の締結等に際して、提供する役務の内容やその対価等について記載した書面交付等を義務付け、下請事業者への発注適正化について努力義務を課すとともに、一定規模以上の事業者に対し、発注適正化に関する管理規定の作成と管理者の選任を義務付けるとしています。これは下請関係に入る利用運送事業者にも適用されます。
軽トラック事業者に対する規制的措置
軽トラック事業者に対し、①必要な法令等の知識を担保するための管理者選任と講習受講、②国土交通大臣への事故報告が義務付けられます。また、国土交通省のホームページにおける公表対象に、軽トラック事業者に係る事故報告・安全確保命令に関する情報等を追加するとしています。
物流関連二法改正に向けた事業者の対応策
2024年5月15日に法律が公布され、2025年度から順次法律が施行される予定です。2025年度からは努力義務が、2026年度からは特定事業者の措置が施行予定となっています。
物流総合効率化法においては、取り組むべき措置として①積載率の向上、②荷待ち時間の短縮、③荷役時間の短縮が挙げられています。
施行直前になって慌てることのないよう、今のうちから対応策を考える必要があります。
ここでは物流総合効率化法への対策に焦点を当て、取り組み例をご紹介します。
①積載率の向上
余裕を持ったリードタイムの設定や同一納品先の製品の積み合わせなどが取組例として挙げられています。リードタイムに余裕があればその分他の貨物と積み合わせることができ、輸送力の低下を補うことができます。また、複数の企業や物流会社が協力することで、同じ納品先の貨物は積み合わせるなど、空車率を改善することが求められています。
②荷待ち時間の短縮
取り組みの例として、適正な貨物の受取・引渡時間を指示することや、予約システムを導入することが挙げられます。ドライバーの労働時間が制限される中で、荷待ち時間を短縮することは輸送力の確保につながります。
③荷役時間の短縮
パレットなどの利用・標準化や、荷積み・荷卸し施設の改善などが取組例に挙げられます。バラ積み・バラ卸しと比較し、パレットを活用することで荷役時間を大幅に短縮することができます。
▶参考:物流総合効率化法に基づく支援|国土交通省
▶参考:物流総合効率化法の概要|国土交通省▶参考:「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律 及び貨物⾃動⾞運送事業法の⼀部を改正する法律」 の施⾏に向けた検討状況について|経済産業省
鈴与の国内輸送サービス
食品配送サービス
物流総合効率化法において取り組むべき措置の一つとして挙げられている積載率の向上につながる食品配送サービスをご紹介します。
鈴与は食品メーカーなどの複数の荷主の商品を鈴与の物流センターに集約し、納品先ごとにまとめて配送する常温配送サービスを提供しています。複数の荷主の商品を積み合わせて配送することで、各荷主が別々に手配している車両台数を削減することができ、積載率の向上につながります。関東1都6県、静岡県、中京エリアをカバーするネットワークと加工食品メーカーを中心とした豊富な取扱実績により、多様な納品条件に対応しています。
詳しいサービス内容はサービスページをご覧ください。
▶食品配送サービスページ
食品配送の効率化に取り組んだ事例は「令和6年度 グリーン物流パートナーシップ会議 物流パートナーシップ優良事業者表彰」にて、最高位となる国土交通大臣表彰を共同受賞しています。受賞内容は以下からご確認ください。▶ニュース:令和6年 グリーン物流優良事業者表彰にて最高位である国土交通大臣表彰を4年連続で共同受賞
フェリー輸送サービス
また、鈴与ではモーダルシフトを推進し、物流総合効率化法の認定実績もあります。
▶ニュース:令和5年度物流効率化計画認定 モーダルシフト等推進事業費補助金の交付決定
最後に鈴与のフェリー輸送サービスをご紹介します。
フェリー輸送では、トレーラーの荷台部分であるシャーシのみを切り離してフェリーに乗船します。ドライバーは、「集荷先~乗船港」「下船港~配送先」までの輸送を行い、輸送行程の大部分を占める海上輸送は無人航走になります。
大型トラックよりも積載量が多いシャーシを利用することで、一輸送当たりの輸送量を増やすことができ、輸送力の確保につながります。
また、陸上輸送と比較しCO2排出量を約40~75%削減できます。
鈴与のフェリー輸送サービスは、北海道から九州まで日本全国の航路に対応しており、保有シャーシ本数は約1,400本、年間輸送取扱実績は約70,000本と、業界トップクラスを誇っています。 また、異業種荷主と連携して取り組んだ2024年問題対応や物流における温室効果ガス削減への取り組み事例は、国土交通省表彰を受賞するなど実績も豊富です。
今後も荷主企業さま、荷受人さま、物流業者さまの皆さまと課題解決に取り組むことで持続可能な輸送の実現を目指していきます。
フェリー輸送サービスについては以下のコラムでもご紹介していますので併せてご覧ください。
▶コラム:フェリー輸送の利用で長距離輸送の課題を解決!▶コラム:モーダルシフトとは?フェリー輸送への切り替えで2024年問題を解決!
前述の通り、今回の改正で荷主には物流統括管理者の選任が義務付けられるなど、荷主企業にも更なる対応が求められています。荷主側、物流会社側それぞれの視点から、2024年問題、さらには2030年に予想される輸送能力の激減への対策を具体例を交えながらご紹介しているコラムもありますのでぜひご覧ください!
▶コラム:2024年問題、何をしてきた?何をしていく? ~なぜ荷主と物流会社が協力していかなくてはならないのか~
鈴与の国内輸送・3PLサービスについて詳しく聞きたい、まずは相談したいという方はお気軽にご相談ください!▶国内輸送サービスに関する問い合わせはこちら
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