2024.05.21
- 海外事業
ベトナムでの商品保管を効率化!保税倉庫を活用した非居住者在庫の運用について
近年、アメリカ・中国間での貿易摩擦の影響により、中国からの生産拠点移管の受け皿として、ベトナムが注目されています。また、日本でもベトナムで製造された繊維製品や機械、携帯電話など、さまざまな製品が輸入されています。これらの工業製品を製造するためには、部品や原材料など海外からモノの輸入が発生します。この一連の調達の際に「保税倉庫」を活用することで、物流コストの削減に繋げることが可能です。
今回は、保税倉庫を活用した非居住者在庫の運用についてご案内します。
※非居住者在庫とは、ベトナム国外の会社が現地法人を設立することなく自社名義の在庫を持つことです。詳細は2章でご説明します。
鈴与のベトナム現地法人(ドラゴンロジスティクス社)ホームページはこちら
保税倉庫とは
保税倉庫とは、商品を外国貨物の状態で保管するための倉庫です。
通常、外国から到着した貨物は輸入通関手続きを経て関税や消費税などの税金を納付します。しかし、保税倉庫内では商品は外国貨物の扱いとなるため、保税倉庫からベトナム国内の納品先に出荷されるまでは、関税の支払いを行わずに商品を保管できます。
輸入時に税金を支払う必要がある一般倉庫での保管と比較して、保税倉庫では商品保管中は税金が発生しません。商品を販売し保税倉庫から出庫するタイミングまで納税が不要となるため、売上の入金タイミングと近づけることができ、キャッシュフローの改善に繋げることができます。
注)在越法人の企業ステータスによる違いもありますので、詳細につきましては、必ず事前にお問い合わせください。
保税倉庫を活用した非居住者在庫の運用とは?
ベトナムにおける保税倉庫の特徴のひとつとして、非居住者(ベトナムに拠点を持たない法人)名義による在庫が挙げられます。
つまりベトナムに法人を持たない日本など他国のサプライヤーや商社が、自社名義でベトナムの保税倉庫に在庫を持つことが可能ということです。日本から少量ずつ輸送するのではなくベトナムへ大ロットで輸送し保税倉庫に保管、その後必要時に少量ずつお客さまへ販売することで、①物流コスト削減や②リードタイムの削減を実現できるのです。
鈴与は1996年に住友商事(株)と共にベトナムにドラゴンロジスティクス社を設立し、首都ハノイのある北部および商都ホーチミンのある南部に自社の保税倉庫を保有しています。約30年にわたる実績があり、2002年よりベトナム北部で稼働した保税倉庫は外資企業で初めて保税での運営を許可された倉庫となります。
今日に至るまで日本のみならず、韓国、シンガポール、タイ、中国など多くの海外のお客さま名義で在庫をお預かりし、ベトナム国内の製造工場へJust In Time(必要なものを、必要な時に)の配送サービスを提供しています。また当社グループの鈴与商事では非居住者在庫制度を用いたVMIサービスを提供しています。ドラゴンロジスティクスおよび鈴与商事との協働で物流と商流双方をトータルプロデュースすることが可能です(商物一体)。ご興味がありましたら、お気軽にご相談・お問合わせください。
ベトナムにおける保税倉庫の活用例
実際の非居住者在庫制度活用例から、ドラゴンロジスティクス社の保税倉庫を活用するメリットをご紹介します。
活用例(1)
非居住者(ベトナムに法人を持たない企業)がベトナム国内に輸入販売を行う場合
保税倉庫を活用することで、関税の納付が行われていない状態のままベトナムに在庫を持ち、顧客からの注文に応じて販売します。これにより、ベトナム国内の企業へ販売する際に納税のタイミングを販売のタイミングに近づけることが可能となります。注文に応じて日本から少量で輸出する場合と比較し、輸送費を抑えられるだけでなく、納品リードタイムの短縮によって顧客満足度の向上が期待できます。

また、ベトナムでは工業団地内または経済特区内で操業し、その製品のすべてを輸出する企業をEPE(輸出加工企業)として認定し、輸出入関税の免税などの優遇措置を設けています。保税倉庫を活用することで、これらのEPEへ免税の状態で、原材料や部品を必要な時に納入することが可能です。
活用例(2)非居住者がベトナムで製造した商品を海外に輸出する場合
活用例(1)と逆パターンとなりますが、EPE企業へ生産委託を行っている日本企業などの非居住者が、ベトナムから海外へ輸出する前に一時保管を行うことも可能です。一時保管により納期の調整を行うことで、輸入地側の在庫調整を図ることができます。また、複数のサプライヤーから調達した商品を保税倉庫に集約し、コンテナサイズにまとめてから輸出するという活用方法もあります。コストの削減のみならず輸出業務工数の削減も期待できます。
他にもドラゴンロジスティクス社では、輸出先国に応じて表記言語が違う箱に梱包するなど細やかなサービスの提供も行っています。お客さま毎に最適なご提案が可能ですので、まずは一度ご相談ください。

まとめ
これまで見てきたように、保税倉庫を活用した非居住者在庫制度によって、ベトナムに法人を持たない日本居住のお客さまであっても、在庫の最適化を通じ物流コストの削減や納期の短縮を実現することが可能です。ドラゴンロジスティクス社では、お客さまの製品や生産原料のサプライチェーンのニーズに合わせて、最適なご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談・お問い合わせください。
お問い合わせはこちら
ドラゴンロジスティクス社では、保税倉庫だけでなく、国際輸送、通関、設備輸送などさまざまな物流提案を行っています。
詳しくはホームページをご覧ください。
ドラゴンロジスティクス社ホームページはこちら
ベトナムの物流事情について、ドラゴンロジスティクス社のニュースレターにて詳しく解説しています。
詳しくはバックナンバーをご覧ください。
ニュースレターのバックナンバーはこちら
関連リンク


お問い合わせはこちら
Contact Us
関連記事
-
2024.04.17
設備輸送担当者必見!海外へ設備を輸送する際の手順をご説明します
製造業の企業が生産体制を海外で構築する際には、生産設備の海外輸送が不可欠です。
海外に設備を輸送する際には多くの手順を踏む必要があり、細心の注意を払いな...- 国際輸送
-
2024.04.03
特大貨物や特殊貨物の海上輸送にも対応!港湾荷役から国内輸送までの一貫対応サービス
通常の海上コンテナに収まらないサイズの貨物すなわち在来貨物の本船荷役や輸送手配においては、通常の貨物と違い専門的な設備やノウハウが必要です。今回は在来...
- 港湾運送事業
-
2024.02.06
国際宅配便と航空貨物輸送との違いとは?国際宅配便の特徴や活用事例をご紹介します
航空輸送は大きく分けるとフォワーダーや航空貨物代理店を介する航空貨物輸送のほか、国際宅配便、EMS(国際郵便)などがあります。今回は輸送手段の一つである国...
- 国際輸送