2026.04.14
- 物流システム
物流システムとは?機器の種類・導入メリット・選び方まで徹底解説
物流業務の効率化や品質向上が求められる中、「物流システム」や「物流システム機器」の導入を検討する企業が増えています。一方で、どのような種類があり、自社にとって何が必要なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、物流システム機器の基礎知識から種類、導入メリット、選定ポイントまでを分かりやすく解説します。
ページ目次
物流システム機器とは
物流業界では、物量増加や多品種少量化、人手不足といった課題が顕在化しており、効率化や品質向上が求められています。こうした課題を解決する手段として注目されているのが「物流システム機器」です。
本章では、その基本的な考え方と役割について解説します。
物流システムと物流機能の関係
物流は「輸送・保管・荷役・包装・流通加工・情報」といった機能で構成されています。*物流システム機器はこれらの各機能を支援し、全体最適を実現する役割を担います。
例えば、倉庫管理システム(WMS)は「情報・保管」、無人搬送車(AGV)は「荷役・搬送」、自動梱包機は「包装」を支援する機能で、それぞれが連携することで効率的な物流体制が構築されます。
物流システム機器の主な種類
物流システム機器は大きく「管理系システム」と「現場設備」に分けられます。管理系にはWMSや在庫管理システム、現場設備にはAGVや自動倉庫などがあり、これらを組み合わせることで物流業務の最適化が可能となります。
*物流機能については以下のコラムでも詳しくご紹介しています。
▶コラム:物流とは?目的や機能、ロジスティクスとの違いを解説
物流システム機器の市場規模の推移
物流システム機器の市場は年々拡大しており、近年では6,000億円規模を超える市場へと成長しています。公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会の調査によると、2024年度の総売上金額は6,570億円となり、3年連続で6,000億円を超え、過去最高水準を更新しています。この背景には、EC・通販市場の拡大や人手不足の深刻化があり、自動倉庫やAGVなどの自動化設備への投資が加速しています。
また近年では、WMSなどのITシステムと連携し、在庫や出荷データを活用した高度な物流管理へのシフトも進んでいます。
※物流システム機器の総売上金額の推移
このような市場環境を踏まえ、自社の物流課題に対してどの領域から着手すべきかを見極め、段階的に導入を進めることが重要です。
▶参考:公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会(JILS)
主な物流システム機器の種類と機能
物流業務は入荷・保管・ピッキング・仕分け・梱包・出荷といった複数の工程で構成されており、それぞれの工程に適したシステム機器を導入することで全体最適が実現します。
倉庫管理システム(WMS)
WMSは、倉庫内の在庫情報や入出荷作業を一元管理する物流システムの中核となる存在です。
入荷登録、ロケーション管理、ピッキング指示、出荷管理などの機能を備えており、物流業務全体の可視化と最適化を実現します。
搬送・保管を自動化するマテハン機器(AGV・自動倉庫など)
無人搬送車(AGV)は、人の操作を必要とせず自動で走行する搬送機器であり、倉庫内の搬送作業を効率化します。従来は人手で行っていた運搬作業を自動化することで、作業負荷の軽減と搬送時間の短縮が可能となります。
また、自動倉庫と組み合わせることで、入出庫作業の自動化や保管効率の向上にも寄与します。
仕分け・ピッキングを効率化するシステム(DASなど)
デジタルアソートシステム(DAS)は、出荷先ごとの仕分け作業を効率化するシステムです。製品をスキャンすると、仕分け先の棚に設置された表示器に該当ロケーションと数量が表示され、作業者はその指示に従って仕分けを行います。
これにより、仕分け先を探す時間の削減と仕分けミスの防止が可能となり、出荷精度の向上に大きく貢献します。
梱包工程を自動化する機器(自動梱包機など)
自動梱包機は、段ボールの組み立てから封かん、送り状貼付までを自動化できる設備です。
出荷量が多い現場では梱包作業がボトルネックになりやすいため、自動化することで大幅な作業時間短縮と生産性向上が期待できます。
また、一定の手順で梱包が行われるため、品質のばらつきを防ぐことができます。
現場作業を支援する機器(ハンディ・音声・ピッキングカートなど)
ハンディターミナルや音声ピッキングシステムは、作業指示をデジタル化することで作業効率を向上させます。特に音声ピッキングは、両手が自由になるため作業スピードの向上に寄与します。
これらの機器は比較的導入しやすく、現場改善の第一歩として効果を発揮しやすい領域です。
物流システム機器導入のメリット
物流システム機器の導入は、単なる業務効率化にとどまらず、品質・コスト・サービスレベルの全体最適を実現する重要な施策です。
ここでは代表的なメリットを詳しく解説します。
作業生産性を向上させる
物流現場では、ピッキングや仕分け、搬送といった繰り返し作業が多く発生します。AGVやピッキング支援システムなどの導入により、これらの作業を効率化・自動化することで、作業時間の短縮と処理能力の向上が実現します。
結果として、同じ人員でもより多くの出荷量に対応できる体制を構築できます。
在庫精度を高める
WMSを導入することで、在庫の入出庫情報をリアルタイムで管理することが可能になります。ロット管理や賞味期限管理、シリアル管理などにも対応できるため、在庫差異の防止や棚卸精度の向上につながります。
これにより、欠品や過剰在庫のリスクを低減し、適正在庫の維持が可能となります。
リードタイムを短縮する
物流システム機器の導入により、各工程の作業スピードが向上し、入荷から出荷までのリードタイムを短縮できます。
特に自動倉庫や仕分けシステムを活用することで、出荷処理の迅速化や当日出荷対応の実現が可能となり、顧客満足度の向上にも寄与します。
ヒューマンエラーを削減する
物流業務では、ピッキングミスや誤出荷といったヒューマンエラーが発生しやすいという課題があります。
バーコード管理やデジタル表示、音声ガイダンスなどを活用することで、作業者の判断に依存しない仕組みを構築し、ミスの発生を大幅に抑制することが可能です。
持続可能な物流体制を構築する
人手不足が深刻化する中、物流システム機器の導入は省人化に大きく貢献します。
繰り返し作業や負荷の高い作業を自動化することで、作業員の負担を軽減し、少人数でも安定した運用が可能となります。また、作業の標準化により属人化を解消し、安定した持続可能な物流体制の構築につながります。
物流システム機器の選定ポイント
物流システム機器は種類が多く、導入には一定の投資が必要となるため、慎重な選定が求められます。
ここでは主なポイントを解説します。
現場業務フローとの適合性を確認する
現場の業務フローと適合しないシステムを導入すると、かえって作業効率が低下する可能性があります。
現状の業務を整理し、どの工程にどの機器を導入するのが最適かを検討することが重要です。
拡張性・柔軟性・連携性を確認する
将来的な物量増加や事業拡大に対応できる拡張性は重要なポイントです。また、WMSや基幹システムとの連携が可能かどうかも確認が必要です。システム連携によるデータ活用が、物流最適化の鍵となります。
導入コスト・運用コストを比較する
初期投資だけでなく、保守費用や運用コストも含めたトータルコストで判断する必要があります。
投資回収期間(ROI)を意識した検討が重要です。
サポート体制・保守サービスを確認する
物流は止めることができない業務であるため、トラブル時のサポート体制は非常に重要です。
迅速な対応が可能なベンダーを選定することが求められます。
ベンダーの物流ノウハウ・実績を確認する
単なるシステム提供ではなく、物流業務全体を理解した提案ができるベンダーを選ぶことが重要です。
実績や導入事例を確認し、自社に適した提案が可能かを見極めましょう。
鈴与で導入している物流システム機器
鈴与では、さまざまな物流現場において、システムや機械を導入し、品質・生産性を担保した物流、持続可能な物流の構築に取り組んでいます。今回は、鈴与の倉庫拠点において、具体的に導入しているシステムや機械をご紹介します。
倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)
鈴与の倉庫拠点では、自社で開発した倉庫管理システム(WMS)を活用し、在庫管理および入出荷業務の効率化を実現しています。鈴与のWMSでは、ロット管理や賞味期限管理、シリアル管理など、多様な商材に対応可能な機能を備えており、正確な在庫管理を実現しています。さらに、在庫状況や入出荷状況をリアルタイムで確認できるWebシステムも提供しており、お客様自身による在庫管理の効率化にも貢献しています。
これにより、在庫精度の向上と物流業務の負荷軽減を同時に実現しています。
代表的な受注管理システム(OMS)の1つであるネクストエンジンと鈴与のWMSのAPI*による自動連携サービスについては、以下のコラムで詳しくご紹介しています。
▶コラム:OMSとは?導入のメリットとWMSとの自動連携サービスもご紹介します!
*APIとは異なるシステム同士をつなぎ、自動でデータ連携を行う仕組みです。
無人搬送車(AGV)
鈴与は、AGVや自動倉庫などのマテリアルハンドリング機器を導入し、倉庫内の搬送・保管業務の自動化を推進しています。
2025年には、川越物流センターにおいて次世代物流システムである「T-Carry system」を導入しました。
本システムは、自律走行型の搬送ロボットを活用し、倉庫内の搬送業務を効率化するものです。「T-Carry system」は、入荷商品をすぐに出荷先別に仕分ける必要がある通過型物流センターにおいて、複数の小型AGVを稼働させることで、最適な仕分け工程が可能となります。 本システムの導入により、作業負荷の軽減と生産性向上を実現しています。
▶プレスリリースはこちらから
デジタルアソートシステム(DAS)
鈴与の物流現場では、デジタルアソートシステム(DAS)を活用し、出荷時の仕分け作業の効率化を図っています。
仕分け先を探す時間の削減や、作業ミスの防止が可能となり、出荷精度と作業効率の向上を実現しています。
梱包工程を自動化する機器(自動梱包機など)
鈴与では、 出荷個数の多いEC・通販物流において自動梱包機を導入し、梱包工程の効率化と品質の安定化を図っています。
作業者によるばらつきを抑え、一定品質での出荷を実現しています。
現場作業を支援する機器(ハンディ・音声・ピッキングカートなど)
ハンディターミナルや音声ピッキングなどの作業支援機器も積極的に導入しています。
WMSと連携して作業指示を現場に反映する仕組みとなっており、作業の効率化と精度向上を図っています。
3次元高速ピッキングシステム「Skypod®」の導入
鈴与では、最新の自動化設備として、3次元高速ピッキングシステム「Skypod®」を導入しています。
本システムは、ロボットが自動で棚を搬送し、作業者のもとへ製品を届ける「Goods to Person」方式を採用しており、ピッキング作業の大幅な効率化を実現します。
2026年2月には、東扇島第一物流センターにおいて導入を開始し、出荷能力の向上と省人化のさらなる推進を図っています。これにより、増加する出荷ニーズへの対応力強化を実現しています。
▶プレスリリースはこちらから
まとめ
物流システム機器は、業務効率化・品質向上・人手不足対策を実現するための重要な要素です。
市場の拡大とともに導入ニーズは高まっており、自動化・データ活用を前提とした物流体制の構築が求められています。自社の課題を明確にし、最適なシステム機器を選定・導入することで、持続可能で競争力のある物流を実現することが可能です。
物流システムの導入や改善をご検討の方は、ぜひ鈴与までお気軽にご相談ください。
お客様の課題や商材特性に応じて、最適な物流システム・機器のご提案をさせていただきます。
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