2025.04.08

  • 契約書管理

OCRで契約書管理を効率化する方法とは?

契約書 OCR.jpeg

こんにちは。「鈴与のデータソリューション」ライターチームです。
今回はOCRの仕組みや活用についてご紹介します。

1.OCRとは

Optical Character Recognition(光学文字認識技術)の略称で、書類に記載されている文字や手書き文字をスキャンし、認識・抽出することで編集可能なテキストデータに変換する機能のことです。
最近は、電子契約サービスが主流となってきており、電子契約を締結した際には自動で契約台帳の項目やPDFが管理システムに連携される仕組みが整っています。しかし、一部では紙での締結が根強く残っています。
従来、契約台帳を作成する場合は、契約書などの書類に記載されている文字や手書き文字を担当者が目視で確認、内容を理解し、契約台帳に手入力する必要がありました。1件や2件の契約書であれば容易かもしれませんが、契約書の件数が多くなるほど時間がかかり、入力間違いや業務負担が増えるというデメリットが発生します。OCRを活用すると、契約書に記載された文字や手書きの文字を迅速にデータ化することが可能になります。

OCRとAI-OCRの違い

最近では、OCRとは別に「AI-OCR」という言葉を耳にすることが増えました。「AI-OCR」とは、従来のOCR技術に加えて、AI技術を搭載したOCRのことです。従来のOCRよりも高精度な文字認識と優れたテキスト抽出が可能です。
AIが文字データを自動的に学習して判断するため、多少の誤字脱字があった場合でも、正確に認識することができ、使用し続けるにつれて認識の精度が高くなります。さらに、AIが文字のレイアウトや項目を自動で抽出するため、様々な書類のフォーマットに柔軟に対応できます。

2.OCRの仕組み

基本的なOCRの仕組み(契約書Ver)

OCRが契約書の文章を読み取り、認識するまでの仕組みは以下になります。

➀契約書を画像データに変換する

電子化したい契約書を白黒スキャンして、画像データとして保存します。 その際に、契約書が古く黄ばんでいたり、文字がかすれていると正しく画像データを保存することはできません。

②画像データ内のレイアウトを把握する

スキャンした画像データから、文書内のレイアウトや位置情報を抽出します。

③文字を認識する

条項のレイアウトを指定し、各条項を1行ずつ、さらに1文字ずつに分割して文字を認識します。「AI-OCR」の場合は、文字列での認識が可能です。


文字を正確に認識するためには、はっきりと印刷された黒字が望ましいです。また文字のかすれやカラー文字がある場合あるいは解像度が低い場合は、文字認識の精度が下がる可能があります。OCRでおすすめな解像度は、300dpiです。
OCRの文字識別精度は100%ではありませんので、必ず確認が必要です。AI-OCRの場合も、OCRより高精度であるがデータの正確性を担保するためには確認したほうがよいでしょう。

3.OCRのメリット・デメリット

OCRのメリット

効率の向上

手動でのデータ入力が不要になるため、時間と労力を大幅に削減できます。

検索性の向上

デジタル化されたテキストは簡単に検索できるため、必要な情報を迅速に見つけることができます。 さらに必要な情報をExcelなどに抽出することで、記入間違いを少なく、すばやく情報を共有することも可能となります。 つまり、通常のスキャナーで読み取ったものは、画像データとなるため、どういった内容が記載されているのか1ページずつ確認しないとわかりませんし、あらかじめ設定していたファイル名で検索するしかありません。
OCR処理がされていれば、テキストデータに変換されているためキーワード検索が可能となり、簡単に該当の箇所を見つけ出すことができます。

ペーパーレス化

紙の書類をデジタル化することで、原本が不要となり物理的な保管スペースを削減することができます。

OCRのデメリット

読み取り精度

手書きの文字や特殊なフォント、経年劣化のある書類の画像データや解像度の低い画像データは、認識精度が低下します。

補正の必要性

完全な正確なデータにするためには、最終的に手動にて修正や確認が必要となります。
日本語は、ひらがな・カタカナ・漢字の3種類あり、似たような漢字も多くあります。日本語の文字認識精度は、アルファベットと比較して難易度が非常に高いです。人が読めば、文字の前後の文脈で判断できる文章でもOCRでは、判断が難しい場面が多くあります。
例えば、「グルプ企業」➡「グルプ企業」 ※長音「ー」を漢字の「一(いち)」と間違えて認識されたり、 「頭」➡「頭」※「口(くち)」をカタカナの「ロ」と認識されるといった可能性があります。

セキュリティ

簡単にデータを転用できるため、取り扱い方次第で情報漏えいのリスクがあります。

4.OCRの活用方法

OCR技術は、契約書管理の他にも請求書処理、名刺管理などバックオフィスを中心に幅広く活用されています。

具体的な契約書管理におけるOCRの活用方法とは

契約書をデジタル化することで、契約書の内容を簡単に検索、編集、共有することができます。さらに契約書に記載してある特定のキーワードやフレーズを抽出することができます。例えば、契約の有効期限や特定の条項を迅速に確認することができます。
契約書には、他の書類と異なり、管理しなければならない内容が多く存在します。そのため適切な契約書管理が重要になります。
従来は各契約書を確認して、契約台帳を手入力していた契約台帳の入力作業が OCR機能の備わっている契約書管理システムでは、自動で契約台帳を作成することが可能となります。

また、全文検索が備わっている契約書管理システムをご希望の方が多くおります。
「 OCR機能と全文検索機能の関係性について 」まず、全文検索機能とは、デジタル化された契約書やデータベース内のテキスト情報を対象に特定のキーワードやフレーズを検索する機能です
キーワードやフレーズが書類のどこに含まれていても、高速で検索することがでできます。また、ファイル名検索や単一ファイル内の文字列検索とは違い、複数の書類にまたがって、書類に含まれる全てのテキストデータを対象に検索されます。
OCR処理の精度は100%ではないため、誤認識が発生することもできます。全文検索機能を使用することで、誤認識された部分も含めて広範囲に検索ができ、見落としを防ぐことができます。

情報検索の効率が大幅に向上するかもしれませんが、本当に「全文検索」機能はは必要なのでしょうか。
お客様によっては、機能を使いこなせていなかったりする場合や使う頻度はあまりなかったりする場合もあります。そういった場合は、過剰なスペックとなり、無駄な費用が発生しているのではないでしょうか。


お客様のご状況によって求める機能やシステムは異なりますが、契約台帳を適切に整備すること、契約書にOCR処理を行うことで事足りるといったお客様も多数おります。OCRについてご紹介させていただきましたが、OCRの活用は業務効率が図れる一方で、読み取り精度が100%とは言い切れません。
必ず確認する作業が発生いたします。そのためメリット・デメリットの両側面を把握した上で、自社にあったOCRの活用をおすすめします。
お気軽に鈴与までお問い合わせください

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