2025.08.12
- 契約書管理
【医療DX】病院における院内文書管理の課題とその解決策

こんにちは。「鈴与のデータソリューション」ライターチームです。今回は、文書保管の観点から医療機関が直面する課題とその対策についてご紹介をします。
ページ目次
1.はじめに
医療現場では、診療録(カルテ)や同意書、検査結果、診断書、紹介状など、日々多種多様な医療文書が発生しています。これらは、患者の安全を守るための重要な情報資産であると同時に、医療機関の業務運営にも欠かせないものです。
しかし、紙ベースでの管理には多くの課題が存在し、業務効率や法令遵守、さらには医療の質にも影響を及ぼす恐れがあります。また、医療文書だけでなく、契約書や議事録など、院内運営に関わる多くの文書も発生しており、これらの管理にも適切な対応が求められています。
実際、医療機関からは「診療情報の管理には注意していたが、契約書管理では期日管理が不十分であり、結果的に業者との契約を見直すことになった」といった声も聞かれます。つまり、診療情報に限らず、契約書などの文書管理も含めた総合的な取り組みが必要なのです。
本コラムでは、医療機関が抱える文書管理の課題を整理し、それに対する具体的な解決策をご紹介します。文書管理の改善は、単なる事務作業の効率化にとどまらず、医療の質向上や患者満足度の向上にもつながる重要な取り組みです。
2.医療機関の課題
紙文書の保管スペースとコストの問題
紙文書は分類・保管方法が適切でなければ、必要な情報を探すのに多くの時間がかかります。 診療中に過去の記録を確認したり、事務処理で契約書や同意書を参照したりする際、検索性が低いと業務効率が著しく低下します。
さらに、文書の所在が不明になることも多く、職員間で「探し物」が常態化しているケースも少なくありません。これは患者対応のスピードや正確性にも影響を与えます。
文書の紛失・誤廃棄・劣化リスク
紙文書は保管状況によってはインクの薄れや破損などの劣化が進み、情報の判読が困難になることがあります。また、誤廃棄や紛失による患者情報の漏洩リスクも高く、医療事故につながる可能性も否定できません。
特に、複数部署で文書を共有する際の管理不備によるトラブルも多く、責任の所在が曖昧になることも課題です。
法令遵守・監査対応の困難さ
医療機関は、個人情報保護法や医療法、労働安全衛生法など、さまざまな法令への対応が求められます。 紙ベースではアクセス履歴の記録が困難であり、誰がいつどの文書を閲覧・修正したのか追跡することができません。これにより、監査対応や内部統制の面で課題が生じ、「見せられる管理」が実現できない状況に陥りがちです。
災害・緊急時の脆弱性
地震や火災などの災害時、紙文書は物理的に破損・消失するリスクが非常に高く、BCP(事業継続計画)の観点からも大きな課題となります。 特に診療情報が失われると、医療提供に重大な支障をきたす恐れがあり、災害時の医療体制維持に深刻な影響を及ぼします。
情報共有の非効率性
医師・看護師・事務職員など、複数職種が関わる医療現場では、文書の迅速な共有が不可欠です。 しかし紙文書では同時閲覧ができず、コピーやFAXの手間が発生するため、情報伝達が遅れ、患者対応の質に影響を与えます。多職種連携が求められるチーム医療の現場では、紙文書がボトルネックになりかねません。
3.医療機関に必要な解決策とは
文書管理の課題を解決するためには、単なる電子化ではなく、「誰でも」「安全に」「すぐに」 使える仕組みの構築が求められます。以下に、具体的な解決策と鈴与の支援内容をご紹介します。
文書のデジタル化とスキャニングによる電子保存
まず取り組むべきは、紙文書のスキャニングによる電子化です。診療録や同意書などの医療文書や契約書などをスキャンしてPDF化し、データとして保存することで、保管スペースの問題や物理的な劣化・紛失リスクを大幅に削減できます。 また、電子化された文書は検索性が高まり、キーワード検索や属性別のフィルタによって、必要な情報を瞬時に取り出すことが可能になります。
加えて、電子化においては「タイムスタンプ」を付与することで、データの信頼性・非改ざん性を証明可能となり、一定条件下では紙の原本を廃棄することも可能です。
鈴与のソリューション
鈴与では、医療文書をスキャン・電子化するサービスを提供しており、厳格なセキュリティ管理下でのスキャニング作業を行っています。持ち出しが困難な文書に対してはオンサイト(院内)でのスキャン対応も可能です。
電子化と同時にタイムスタンプを付与し、鈴与のクラウドサービス「SDIS(S uzuyo D ocument I nformation S ervice)」を活用すれば、原本保管型クラウドとして電子文書の適正な管理と保管を実現します。
文書管理システムの導入による一元管理
電子化した文書を管理するためには、院内向けの文書管理システムの導入が有効です。 文書管理システムにより、以下のようなメリットが得られます。
①文書のバージョン管理やアクセス権限の制御が可能
②閲覧履歴や操作ログの記録により監査対応も容易
③契約書や議事録など、診療に直接関わらない文書も同じプラットフォーム上で管理可能
結果として、紙・PDF・台帳情報のひも付けが進み、「誰が・いつ・どのような目的で」 文書を扱ったかが明確になり、法令遵守にも対応できます。
鈴与のソリューション
鈴与が提供する文書管理クラウドサービスでは、紙・PDF・契約台帳を紐づけて一元管理できる仕組みを構築します。
既存のフォルダ構成や業務フローに合わせたカスタマイズ設計が可能で、導入後の職員の定着支援も行います。
クラウドの活用と災害対策
データの保存場所をクラウド環境に移行することで、院内での物理的リスク(火災・地震など)に備えるBCP対策にもなります。クラウドサービスを利用することで、遠隔地からのアクセスや多施設間での情報共有もスムーズになり、災害時でも必要な文書へ即時アクセスする体制が整います。
もちろん、医療情報としてのセキュリティ要件(ISO認証、国内サーバー、通信の暗号化など)を満たしたサービスを選ぶことが前提です。
鈴与のソリューション
鈴与のクラウドサービスは、国内データセンター運用かつ医療レベルのセキュリティ水準を満たしています。
診療情報も契約書も、安全にクラウド上で管理しつつ、原本は適切に倉庫で保管する"ハイブリッド型管理"により、コストと安全性の両立を実現します。
台帳の期日管理における契約台帳自動作成の業務効率化
契約書などの管理においては、文書の登録時に台帳情報を自動的に生成し、契約期限や相手先、更新時期などを見える化する機能が効果的です。更新期限が近づいた契約をアラートで通知する仕組みにより、契約の失念や対応漏れを防ぐことができます。契約書管理においては、契約開始・終了時期や取引先情報などを適正に管理することが求められます。
しかし現状では、契約期日の管理ができていない医療機関もあり、結果として重要な契約更新が漏れたり、契約条件の見直しを怠ってしまうケースも少なくありません。これが、取引業者との契約見直しやコスト適正化の機会を逃す一因となっているのです。
鈴与のソリューション
PDFをアップロードするだけで台帳情報を自動抽出する独自機能を提供し、契約書のライフサイクル全体を効率的に管理します。
また、お客様ごとにプロンプトを構築するため、契約書のみならず、医療文書にも対応することが可能です。
職員間のスムーズな情報共有と連携強化
電子化された文書は、職種・部署間の情報共有を促進し、コピーやFAXといったアナログ作業を削減します。医師・看護師・事務職員が同時に同じ情報へアクセスできることで、業務のスピードと正確性が向上し、患者対応の質の改善にもつながります。
鈴与のソリューション
部門横断での情報共有に適した権限設定機能や通知機能を搭載しています。関診療現場・経営管理部門それぞれにとって使いやすい運用設計をサポートします。
4.まとめ
医療機関における文書管理は、単なる業務効率化の問題ではなく、医療の質・安全性・信頼性に直結する重要課題です。
契約書には、他の書類と異なり、管理しなければならない内容が多く存在します。そのため適切な契約書管理が重要になります。
紙と電子が混在する「過渡期」だからこそ、診療情報管理と契約書管理という両軸で、電子化とその活用体制を段階的に整えていくことが必要です。
鈴与のソリューション
- ①医療文書の電子化・スキャニング
- ②契約書管理台帳の自動作成
- ③クラウド文書管理システムの導入
- ④原本文書の安全保管
- ⑤現場支援・導入定着サポート
これらをワンストップで提供することで、現場の煩雑な業務を根本から見直し、「紙」と「電子」の"共存・連携"を可能にする文書管理体制を実現します。お気軽に鈴与までお問い合わせください
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