2026.01.27
- 医療機器物流
制度とリスクに強い医療機器物流へ|サプライチェーン再設計の重要性

近年、未来医療をテーマとしたさまざまな取り組みが注目され、AI 画像診断や手術支援ロボットなど、次世代医療機器の活用が進みつつあります。現在、医療機器業界はUDI義務化の完全運用、在宅医療の急拡大、国際物流リスクなど大きな環境変化に直面しています。医療機器を扱う企業にとって、法規制への確実な対応と品質・緊急対応に備えた物流を戦略的に設計することが、競争力を高める重要な要素となっています。
制度対応と物流品質の両立
医療機器メーカーの物流は、薬機法対応、認証倉庫の運用、緊急配送、国際物流リスクなど、複雑な要素が絡み合う領域です。輸送・保管には厳格な管理が求められ、業務内容によっては、医療機器製造業などの業許可の取得が必要になります。さらにQMS対応(ISO13485)、トレーサビリティ管理、突発的な需要へ即応できる体制も不可欠です。
これらを自社で構築するには相応なコストと時間がかかるため、DMAH(製造販売業務代行)や製造業務アウトソースを含む専門物流パートナーの活用が有効です。医療機器の物流は単なる輸送ではなく、法規制・品質・緊急対応を包括した「戦略的な物流設計」が求められる領域なのです。
人手不足時代の医療機器供給
少子高齢化に伴う人手不足の影響は、医療機器業界にも確実に及んでおり、製造ラインの維持や品質管理に必要な人材の確保が一段と難しくなっています。さらに、物流を支えるドライバー不足も深刻化し、製造と物流の両面で負荷が増大する「二重の課題」が顕在化しています。本来は品質管理に専念すべき担当者が物流手配や在庫管理まで兼務するといった状況も発生しており、主要業務に集中しにくい環境が生まれています。
また、2024年問題によるドライバーの労働規制強化で、従来は対応できていた緊急チャータートラックによる当日配送が難しくなり、医療現場への影響も懸念されています。こうした人的リソースの圧迫は、業務品質の低下や緊急対応の遅れに直結するため、早急な体制見直しが求められます。
このような状況を改善するためには、出荷センターの複数拠点化による配送距離短縮や、納品先の分布を元に拠点立地を見直すなどの再設計が効果的です。医療機器製造業の許可を保有し、QMS体制が整った物流会社へ輸入・製造・在庫管理・配送までを一元的にアウトソースする仕組みを構築することが重要です。これにより、緊急オーダーへの柔軟な対応が可能となり、サービス品質の向上につながります。加えて、在宅医療や遠隔診断機器の普及に伴い、小口・多頻度配送に対応できる体制も今後さらに必要となってきます。
国際調達リスクとサプライチェーン再設計
日本の医療機関で使用される治療用医療機器や部品の多くは海外調達に依存しており、国際物流の不安定性が調達リスクに直結します。船便・航空便の遅延、通関の滞留、為替変動など、製品供給に影響を与える要因は多岐にわたります。このような環境下では、DMAH(製造販売業代行)支援や輸入代行、通関手続きのシステム化・効率化などを含めた、単なる輸送機能ではない「業務全体の設計力」が、今後のサプライチェーン強化の鍵となります。
物流改善は、品質保証・リスク管理・顧客満足・事業継続性といった経営の根幹に関わります。アウトソーシングを活用し、製造・販売・貸出を一体で支援できるパートナーとの協業は、事業成長を後押しします。
鈴与の医療機器物流サービス
医療機器製造業 × 物流センター(DC)の一体運用
2006年に医療機器製造業を取得、ISO13485取得センターで医療機器の製造(検品・ラベル貼付など)に加え、貸出医療機器の洗浄や滅菌医療機器の製造にも対応しています。航空便や海上コンテナ、トラックでの入庫から製造、保管、出荷、小口・多頻度配送にもワンストップで柔軟に対応可能です。
▶医療機器物流サービス
クリーンルームでの一次包装・組立サービス
滅菌医療機器の製造に欠かせないクリーンルームでの一次包装・組立工程についても、鈴与ではノウハウを持った専門スタッフが対応しています。洗浄方法や包装資材のご提案からバリデーション、洗浄・包装作業の受託、受託滅菌会社と協力して滅菌をサポートし、滅菌医療機器の製造を支援します。
▶コラム:医療機器における滅菌とは?滅菌方法や滅菌プロセスについて解説します
洗浄サービス(滅菌前洗浄/リターナブル洗浄)+ ISO/IEC 17025分析サービス
滅菌前洗浄では、洗浄から一次包装、滅菌工場への出荷までをワンストップで行います。また、リターナブル洗浄では、返却荷受から洗浄、メンテナンス、保管、出荷までをワンストップで行うことで、お客さまの管理の手間や無駄な横持ち時間・コストを削減し、返却されてから出荷までのリードタイムの短縮を実現します。鈴与御殿場プラントでは2025年11月に ISO/IEC 17025:2017(試験所認定)を取得し、製品の洗浄工程の妥当性評価や洗浄剤・洗浄機器・洗浄手順の性能分析をはじめ、さまざまな評価・再生プロセスにも対応しています。
▶導入事例:貸出医療機器物流の新たなビジネスモデルを構築
▶コラム:医療機器の洗浄評価におけるタンパク質定量分析サービス
選任製造販売業者(DMAH)と品質保証の総合支援
MAH・DMAHサービスを事業展開するディーマー・メディカル・ジャパン社と業務提携し、薬事・製造・物流の窓口を一本化することが可能です。情報共有がスムーズになることでお客さまの業務負荷を軽減し、立ち上げまでの時間を短縮するとともに、ISO13485認証に基づいた品質管理体制により高品質なサービスを継続的に提供します。
▶コラム:【2025年最新版】MAH・DMAHとは?医療機器の製造販売業代行サービスを徹底解説
関連リンク
お問い合わせはこちら
Contact Us
関連記事
-

2026.01.15
鈴与御殿場プラントにおける医療機器製造関連ファシリティの紹介
医療機器(以下、「製品」)の製造プロセスにて製品に付着した化学物質や微粒子の洗浄除去、クリーンルーム内でのパーツの組立てや無菌バリア包装、製品流通のた...
- 医療機器物流
-

2022.12.20
DMAH・MAHと連携したワンストップ医療機器物流サービスをご紹介!
鈴与は第一種医療機器製造販売業を所持している企業と業務提携し、サービスを展開することとなりました。
今回は、鈴与の新サービスである、薬事申請から製造、物...- 医療機器物流
-

2025.07.02
【2025年最新版】MAH・DMAHとは?医療機器の製造販売業代行サービスを徹底解説
医療機器を日本市場へ業として製造販売することは、薬機法で規制されており、規制当局(厚生労働省及び各都道府県)の許可・登録・承認が必要です。本コラムでは...
- 医療機器物流

