2021.04.06
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化粧品を輸出する際に必要な準備とは?
輸出化粧品のマーケット市場
財務省貿易統計によると、2015年から化粧品の輸出金額が急増し、2016年には初めて輸出金額が輸入金額を超えました。
以下のグラフからも分かるように、2018年からは輸出金額が輸入金額の2倍以上になっています。

輸出国別で見ると、中国が飛びぬけて多く、2020年以降は化粧品総輸出額の50%が中国への輸出となっています。
世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響から、多くの製品において貿易が停滞しているものの、化粧品の輸出に関しては年間を通じた結果として、好調であるといえます。
これは、2014年頃から増加した訪日中国人のインバウンド消費により、中国では日本の化粧品の認知度と人気が高いことから、日本の化粧品メーカーの販売拡大に力を入れていること、越境ECを利用して個人輸入をする人が増加していることが要因と考えられます。▶参考:化粧品の輸出入|日本化粧品工業連合会
化粧品の輸出における手続き
化粧品は、日本国内の法律で、医薬品医療機器等法(薬機法)の規制対象となっており、次の(1)~(3)のように、条件に応じて必要なライセンス取得や届出の提出が必要です。
(1)国内流通品をそのままの形で輸出する場合
国内の製造販売業者から仕入れた化粧品をそのまま販売するには薬機法の許可・届出は不要です。
従って、国内向けに出回っている化粧品を、そのままの形で輸出する場合には特別な手続きは必要ありません。
ただし、何らかの事情で海外から化粧品の返品がある場合、化粧品を輸入することになりますので、「化粧品製造販売業」の許可が無ければ海外からの返品を受けること(再輸入)はできません。
(2)国内流通品のラベルやパッケージを変更して輸出する場合
法規上、『包装、表示、保管』は「製造」に該当し、輸出先現地の言語表示に変更したり、容器や外箱のデザイン等を輸出用に変更したりすることは「製造」とみなされます。
これらの行為は「化粧品製造業」の許可が無ければできないので、医薬品医療機器総合機構(PDMA)経由で「輸出用化粧品製造届(輸出届)」を厚生労働省に届け出る必要があります。
(3)輸出向け仕様の製品を輸出する場合
製造段階から輸出向けの仕様にした化粧品を輸出する場合は、「化粧品製造業」の許可と、上記の「輸出用化粧品製造届(輸出届)」が必要になります。
化粧品輸出手続きの注意点
日本から製品を輸出するということは、輸出先国にとっては「製品を輸入する」という行為にあたります。
化粧品を日本から輸出する場合、相手国のルールに従った手続きも行わなければなりません。
化粧品は、海外の国や地域ごとに、日本の厚生労働省が定める「化粧品基準」に相当するような、規制や基準があります。
例えば、以下のような、安全や品質を確保するために必要なラベル表示や成分規定などのルールが定められています。
例)
EU :EU化粧品規則の付録
ASEAN :ASEAN化粧品指令の付録
US :米国のFDAやCIR等が定める基準
その他にも輸入通関、流通販売についてのルール、化粧品販売に係る許可・登録・届出の手続き、原料の審査や広告表現の規制等も遵守しなければなりません。
また、輸出の際には、輸出相手国側から適切な管理プロセスに基づき製造されたことを示す証明書を要求されることがあります。
一般的によく知られている証明書には、以下が挙げられます。
(1)Good Manufacturing Practice(GMP)証明書
輸出化粧品が日本の薬事法に基づき適切な構造設備のもと、製造管理や品質管理の基準を満たしているということを証明するものです。欧州やASEAN諸国へ化粧品を輸出する場合に要求されることがあります。
GMPについて説明しているコラムがありますので併せてお読みください!
▶コラム:「化粧品GMP」とは?鈴与の化粧品GMPの取り組みもご紹介します!
(2)輸出関連書類
1)化粧品製造販売業に関する証明
2)化粧品製造業に関する証明
3)化粧品製造(輸入)及び販売に関する証明
4)製造販売業者の化粧品製造(輸入)に関する証明
5)製造業者の化粧品製造(輸入)に関する証明
▶参考:輸出証明書発給業務|日本化粧品工業連合会
輸出先国で必要な証明書は、輸出先国や申請を行う会社によって異なりますので、必要書類については輸出先および提出先にてご確認下さい。
以上のように、化粧品の輸出は日本国内の法律や、相手国の規定・ルールが絡むため、事前の調査や確認、対策を準備しておくことが重要です。法律や規定の詳細については、厚生労働省、JETORO、PMDA(医薬品医療機器総合機構)にてご確認ください。
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