2015.04.09(最終更新日 2024.12.12 )
- 文書管理
情報の用途に合わせて管理する紙文書の保管・保存方法

こんにちは。「鈴与のデータソリューション」ライターチームです。
ビジネスを行っていく中では日々さまざまな文書が発生し、これらを適切に管理していく必要があります。特に近年は、自社の権利を主張する場合やビジネスの正当性を証明するための文書を「義務」として管理する必要性が増しており、正しい保管と保存を行うことが永続的に企業を守る条件となりつつあります。
1.文書管理台帳をつくり効率的に保管する
文書を保管する上での留意点は、必要な時に必要な文書を即座に引き出せるようにしておくことです。ここで大事なことは、インデックス情報を明示した「文書管理台帳」をつくり、保管文書の種類や保管の期限や取扱いのルールなどを、誰が見てもどの文書がどこのキャビネットのどのフォルダにしまわれているかを一目瞭然としておくことが大切です。
文書管理台帳のインデックス項目例
文書分類
文書名
文書保管ロケーション
文書キャビネット名
文書フォルダ名
作成者(部門)
作成日
保管期間
保管期間満了日
保管期間満了時の措置
管理担当部門
備考
2.ファイリングの方法
文書をキャビネットにしまう際に考えたいのがファイリングの方法です。また、単にファイリングを行うのではなく、あくまでも「活用しやすいまとめ方」を前提として、ファイル作業からキャビネットへの収納までを考えることが大事です。
紙文書のファイリング方法
●ファイリング用具の選定
保管の形式として用いられるファイリング用具は、一般的にはバインダーとフォルダの2通りが考えられますが、それぞれにメリット・デメリットがあるため、保管文書の量や性質を考えて両方あわせて使用したいところです。詳細については『虎ノ巻・紙文書のファイリングと電子化』をご参照ください。

●文書を束ねる
せっかくファイリングをしても束ねたファイルの中身が整理されていなければ台無しです。ファイリング作業を行う際は、まず、一か所に束ねるべき文書をきちんとすみ分け、どのラベルタイトルに何が入っているかを分かるよう文書管理台帳に明記しておくことが肝心です。

●ファイル作業
文書の分類基準、保管期間・廃棄基準、アクセス権限など、保管ルールを決めてファイリングすることで、業務の標準化が図れるため統制のとれた文書管理につながります。またこれらの事項も文書管理台帳に明記しておくことが必要です。

●表示作業
ファイリング用具の背表紙は、表示形式を統一したラベルを貼って管理することを基本とします。キャビネットを開けた時に整理された印象を与えるばかりでなく、ラベルに統一感を持たせることで、視覚的に見やすく探しやすさが生まれます。
また背表紙にファイリングした日付を記載しておけば、保管期限が訪れた時に内容確認をして、廃棄するか、あるいは保存文書として別に管理するかの目安となります。

●配列作業
フォルダーやバインダーによって分類・整理した文書を有効に活用するためには、保管場所を階層化して配列することで、必要な文書を効率的に探し出すことができます。また、キャビネット内の配列ロケーションを文書管理台帳に明記しておくことで、検索がより一層楽になります。
詳細については『虎ノ巻・紙文書のファイリングと電子化』をご参照ください。

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3.保存すべき文書の種類
法的要請に対して説明責任を果たすものを法定保存文書と言います。たとえば経理部門なら、見積書や請求書などの取引に関する帳簿類、人事部門なら雇用や解雇に関する書類などが挙げられます。また税務関係では、帳簿やそれに関連する証憑が代表的なものと言えるでしょう。これらの文書はその性質によって1年、3年、5年、7年、10年、永年の6つの保存義務があります。
法定保存文書の一例
●経理
取引に関する帳簿書類(見積書、納品書、請求書、契約書、領収書)など
●人事
雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類(出勤簿、給与台帳)など
●総務
株主総会議事録・総会議事録の謄本など
一方、法律で保存が定めらているわけではないけれど、会社が不測の事態にさらされた時自衛を目的として保存すべき文書もあります。ここで言う「自衛」とは、裁判などで事実を証明するための文書や、災害やテロ・事故・事件などの不測の事態に遭遇した時に対応するための文書のことを言います。
自衛のための保存文書の一例
●特許関係
他企業と新技術の開発を競っている場合は自社の開発活動記録を残すこと必要です。また、特許権は公開することが前提とされていますが、秘匿する場合は先使用権を主張することが必要です。この場合、技術関連書類や事業関連書類などを証拠としなくてはなりません。
●PL法(製造物責任)
製品の欠陥が原因で、他人の生命や身体、財産を侵害した場合、製造業者はそれによって生じた損害を賠償する責任があります。その時効は10年とされているため、製品の製造、販売の記録や品質管理データの保存が必要とされています。
●バイタルレコード
非常事態に遭遇した時、組織の継続に必要な記録をバイタルレコードと言います。その主な内容は、顧客、仕入先、債権者、株主リスト、売掛金台帳、契約書など。非常時にはパソコンが使用できないことも想定し、紙文書の保存も大切です。
●技能の伝承
熟練技術者が勘に頼っていた製造技術を継承していくために、文章や数式、図表などによって残すことが求められています。
●CSRに関する文書
企業の不祥事が多発していることから、現在は、コンプライアンスを対外的に説明する責任があるとされており、これらに関する文書を正しく保存しておく必要があります。
法定保存文書と自衛のための文書はサイズがまちまちで、1つ1つの文書量や保存期間のすみ分けが多いため仕分け作業に大きな手間がかかることも少なくありません。こうした場合は文書管理のスペシャリスト(外部業者)への委託も視野に入れておくと良いでしょう。
次回のテーマは、業務を効率化させる「ルールを決めて全社で共有 スキャニング文書の運用とメリット」についてお届けします。
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