2025.10.10

  • 医療機器物流

再使用医療機器の洗浄できていますか?洗浄方法と確実な評価指標とは

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RMD(Reusable Medical Device:RMD)は、医療機関で使用された後に専門部門による洗浄・滅菌の再生処理が可能な医療機器を指します。繰り返し使用できることで、コスト削減や資源の有効活用につながります。しかし、洗浄が確実に行われていなければ、その後の滅菌を保証することはできません。ここでは洗浄評価の指標となる、残留タンパク質とその試験について詳しく説明します。

医療機器の洗浄とは

洗浄とは分かりやすく言い換えると、見える汚染と塵、その他あらゆる異物を取り除くことです。私たちの生活の中にも「洗浄または洗浄行為」が多く存在しています。例えば食器洗いや洗濯、お風呂掃除、入浴などが挙げられます。医療機器の洗浄も同じで、機器に付着しているさまざまな異物を洗い流す必要があります。脂質(油)や血液成分の血球、骨片などの目に見える汚染だけでなく、目に見えない化学的残留物(洗剤、リンス剤)と生理学的残留物(血液成分の血漿)、微生物の洗浄も行わなくてはなりません。この目に見えない汚染を除去することが「医療機器の洗浄の目的」です。医療機器の洗浄を担っているのが、医療機関内の中央材料部(Central Sterile Supply Department:CSSD)であり、医療機器の清浄度 *1を担保しています。
*1 残留物が限りなくないこと

医療機器の洗浄方法

医療機関のCSSDではRMD(Reusable Medical Device)の再生処理を日々行っています。(図1参照)
この再生処理の工程に洗浄がありますが、RMDの形状や材質、種類、その汚染度により洗浄方法が異なります。洗浄剤も中性洗剤、弱アルカリ性洗剤、酵素洗剤、多酵素洗剤などの数種類の中から選択します。洗浄方法も多岐にわたり、用手(手で洗う行為)や自動洗浄器*2や超音波洗浄器を使用し、目に見えない汚染の洗浄を行います。
*2 Washer Disinfector:WD、減圧沸騰洗浄器

RMD再生処理プロセス.png

洗浄の種類については以下のコラムでも紹介しています。
▶コラム:医療機器の洗浄工程とは?主な洗浄方法や洗浄を必要とする医療機器について解説します

医療機器の洗浄評価

洗浄した医療機器が確実に洗浄されたかを確認する方法が「洗浄評価」です。国内では、その指標を残留タンパク質量(μg)として管理しており、基準は200μg/RMD以下となっています*3。目に見えない生理学的残留物にはタンパク質が含まれます。筋肉をはじめ、各臓器、皮膚、爪や毛髪まで人間の体の約20%はタンパク質でできていることから、タンパク質量を洗浄できているか否かを基準としています。タンパク質量は、専門機関が評価を行います。鈴与では、医療機器の洗浄・洗浄評価ともに対応が可能です。医療機関で使用されている全てのRMDに使用している洗浄剤、洗浄装置までの洗浄能力の評価が可能です。
*3医療現場における滅菌保証のガイドライン2021:一般社団法人 日本医療機器学会

洗浄評価はその結果が洗浄できている証明になりますが、結果を分析することで工程改善やコスト削減まで洗浄効率を向上させることもできます。また、新しい医療機器等の洗浄工程構築や、洗浄バリデーションまで幅広く対応することができます。こういった実績から医療機関での洗浄剤変更によるコスト削減、洗浄条件の見直し、洗浄時間の短縮効果など、医療機器メーカーでの設備評価などに鈴与の洗浄評価は使われています。

医療機器の洗浄と今後の課題

現状、多くの医療機関やメーカーでは「洗浄剤を使えば洗えている」「設備に通せば洗えている」といった感覚的な運用が少なくありません。しかし、根拠に基づかない洗浄では、本当に汚染が除去できているかを保証できません。
医療機関はもとより医療機器メーカーでも医療機器の洗浄評価を実施して、その医療機器の性能が最大限のパフォーマンスで患者さまに使用されることが今後の課題となります。昨今はロボットによる遠隔手術が拡大しており、関連する機器の洗浄は世界的にも困難であると言われています。
医療機器の洗浄やその評価にはまだ課題が多く、現場でお悩みのこともあるかと思います。鈴与では医療機器洗浄をはじめ洗浄評価まで対応可能です。
洗浄状態の確認や改善、さらには効率的な再生処理まで、幅広くサポートいたします。
医療機器の洗浄に関するお悩みや課題は、ぜひ鈴与へお気軽にご相談ください。

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