2023.10.23

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医療機器の洗浄工程とは?主な洗浄方法や洗浄を必要とする医療機器について解説します

医療機器のイメージ画像

新しい医療機器が利用される前に滅菌工程が発生しますが、医療機器の製造工程において滅菌前に最終洗浄、包装のプロセスが必要となります。今回は滅菌前工程で必要とされている洗浄について解説します。
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滅菌医療機器の製造における洗浄とは?

洗浄とは?

洗浄とは、物(器具、器材、器械など)に密着した残留物、汚染物質(血液、体液、有機物など)、微生物などの異物を洗浄液中に溶解させて除去することと言われています。
滅菌工程前の洗浄を実施する目的は汚れを取り除き、できるだけ微生物を取り除くことにあります。医療器具を未洗浄の状態で滅菌処理をすると、微生物の死骸が残存し、汚れが固着します。これらの汚れは洗浄しても残留しやすいため、滅菌不良の原因となります。洗浄を実施して滅菌前の汚染微生物数を少なくすることで、滅菌の質の向上、滅菌時間の短縮に繋がります。

洗浄の方法

洗浄にはさまざまな手法があり、油分、切粉、パーティクル、フラックスなど洗浄対象に合わせた適切な方法を選択します。ここでは主に利用される機械洗浄、浸漬洗浄、用手洗浄についてご紹介します。

(1) 機械洗浄:機械を使用して、超音波、水圧、洗浄剤により洗浄する方法

用手洗浄では取り除けない部分の汚れを取り除くことができ、より短時間で高い洗浄効果が期待できます。
ガラス製品、比重が軽いものなどについては洗浄効果が期待できません。

(2) 浸漬洗浄:洗浄液中に漬けることで汚れを分解、除去する方法

誰が実施しても洗浄効果にバラツキが出ることがなく、簡単に処理できる洗浄方法です。
洗浄液に接していない箇所は洗浄できないため、内腔のあるものは空気が残らないように浸漬する必要があります。

(3) 用手洗浄:ブラシやスポンジ等などを使用して物理的に洗浄する方法

目視できる範囲で汚れを落とすため、作業者によってバラツキが出てしまい、時間がかかる方法ですが、数量が少ない場合や機械洗浄できない場合は有効です。

洗浄に必要な条件

洗浄に必要な条件としては①水質 ②温度 ③洗剤濃度 ④時間 ⑤エネルギー(機械的な力)が関係し、各条件の効果を掛け合わせた相乗作用により達成できます。 医療機器の洗浄には主にアルカリ性洗浄剤、酵素配合洗浄剤が使用されます。
洗浄対象となる器具や、洗浄方法(機械洗浄、用手洗浄、浸漬洗浄)に合わせて適切な洗浄剤を選択する必要があります。

洗浄工程が必要となる医療機器とは?

鈴与では以下医療機器の洗浄工程に対応しています。

(1) 貸出医療機器

平和島メディカルセンターでは貸出医療機器のローナー業務を受託しています。医療機関から返却された器械の超音波洗浄を行い、メンテナンス後、在庫管理を行います。センター内に洗浄設備を併設しているため、返却~洗浄・メンテナンス~出荷までワンストップで対応し、返却されてから再度貸し出しするまでのリードタイム短縮を実現いたします。

(2) 滅菌医療機器

大黒メディカルセンターでは洗浄設備・クリーンルームを併設しているため、整形インプラントなどの滅菌前医療機器の洗浄、クリーンルーム内での無菌バリア包装(三方袋包装、ブリスターパック包装など)を行い、同建屋内に併設しているジャパンガス社の横浜滅菌センターにて滅菌処理も行うことが可能です。また、同設備で受入検査や包装のみを受託することも可能です。自社で設備がない場合でも自社で設備投資することなく、ワンストップで委託可能となり、横持ちコストの削減も可能となります。

(3) 再製造単回使用医療機器

御殿場センターではSUD再製造(R-SUD)の受託が可能です。R-SUD(再製造単回使用医療機器:Remanufactured Single Use Device)は、医療機関から収集された使用済みSUD(一回限り使用できることとされている医療機器)を医療機器製造販売業者が適切に分解、洗浄、部品交換、再組立て、滅菌などの処理を行い、リバースエンジニアリングの技術を用いて、再び使用できるようにした医療機器のことをいいます。鈴与はSUD再製造事業に製造業者として、厳格な品質管理に対応し、温度管理、室圧管理、空気清浄度などの環境モニタリングおよび適格性評価を実施した生産設備を完備し、医療機関からの再生部品の収集から再製造までの管理を目的としたトレサビリティシステムを構築しています。

鈴与の医療機器物流ワンストップサービス

鈴与では全国7カ所に医療機器センターの拠点を持ち、医療機器製造業者+物流業者として、メーカーさまが製造・調達された医療機器の受入検査・ラベル貼付・包装といった製造作業から、製品の保管、ディーラーさまや医療機関さまなどのユーザーへの出荷・配送、といった物流サービスをご提供しています。
▶医療機器物流サービスページ

拠点紹介①:大黒メディカルセンター

所在地:神奈川県横浜市鶴見区
特徴:
・東京港・横浜港の近隣に立地し、輸出入が発生する滅菌医療機器のお取り扱いに最適なエリア
・ジャパンガス横浜滅菌センターと併設していることで、滅菌前医療機器の洗浄~受入検査~無菌バリア包装~滅菌までワンストップ対応できることで横持ちコストを削減
・全国・首都圏に近く、納品リードタイムの短縮を実現
・洗浄設備・クリーンルーム設備を導入しているので、自社での設備投資が不要

大黒物流センターの外観.png

拠点紹介②:御殿場物流センター

所在地:静岡県御殿場市神場
特徴:
・待機時間がほぼゼロの清水港の近隣に立地し、輸出入製品のお取り扱いに最適なエリア
・海から距離があり、地震発生時にも津波の心配がなく、BCPに最適な立地
・洗浄設備・クリーンルーム設備を導入しているので、自社での設備投資が不要
・使用後、洗浄・滅菌を行い繰り返し使用されるリターナブル医療機器の洗浄・包装に対応

御殿場物流センターの外観





拠点紹介:平和島メディカルセンター

所在地:東京都大田区
特徴:
・東京港・横浜港の近隣に立地し、輸出入が発生する医療機器のお取り扱いに最適なエリア
・首都高速や主要幹線道路へのアクセスに優れ、利便性の高いロケーション
・全国・首都圏に近く、納品リードタイムの短縮を実現
・倉庫内に貸出医療機器に対応した洗浄設備を併設

平和島センター.jpeg

医療機器製造業ライセンスを取得している拠点一覧は下記からご確認ください。

洗浄、無菌バリア包装についての詳しいサービスを知りたい方をはじめ、現在の委託先に課題を抱えている方、新たに事業を始めようとしている方はぜひ一度鈴与にご相談ください。

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