2025.02.26
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医療機器の輸入物流ガイド|通関・法規制・物流のポイントを徹底解説します

近年、医療技術の進歩に伴い、最新の医療機器が世界中で求められています。
日本では医療機器の多くを海外から輸入しており、厚生労働省が発表した「薬事工業生産動態統計年報」によると、2023年の医療機器の輸入金額は3兆3,217億円(前年比13.8%増)に上り、国内生産金額2兆 6,747億円を大きく上回っています。
医療機器の輸入には一般的な貨物とは異なる高度な管理と規制対応が求められるため、法規制への正しい理解と事前準備が重要です。本コラムでは、物流の視点から、医療機器の輸入における重要なポイントについて解説します。
▶参考:「令和5年 薬事工業生産動態統計年報」の公表について|厚生労働省
医療機器の輸入に関連する法規制
医療機器を日本へ輸入するには、厚生労働省が定める「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」に従い、適切な認可や届出を行う必要があります。関税法第70条では「輸入申告の際に、同表第3欄に掲げる許可書又は承認書等により、同項に規定する許可、承認等を受けている旨の証明を求めるものとする。」と定められているため、日本に製品が到着してからの対応では遅く、事前に準備しておく必要があります。
医療機器を輸入するための事前準備
医療機器を輸入する際、薬機法に基づき以下の事前準備が必要です。
(1) 輸入する医療機器のクラス区分の確認
医療機器はクラスI(一般医療機器)、クラスII(管理医療機器)、クラスIII・IV(高度管理医療機器)に分類され、それぞれ異なる規制が適用されるため、まずは分類を確認する必要があります。
(2) 製造販売業許可の取得
医療機器を輸入・販売する企業は「製造販売業許可」を取得する必要があります。製造販売業許可の申請は、輸入販売しようとする事業所所在地の都道府県知事に対し、品質管理方法(GQP)ならびに製造販売後安全管理方法(GVP)が適切であること、総括製造販売責任者(常任雇用)の資格を証する書類などを提出します。取り扱う医療機器の国際区分(クラスI〜IV)に応じて必要な許可の種類(第一種〜第三種)が異なるため注意が必要です。
もし日本に事業所がない場合は、日本国内の製造販売業許可を所持する製造販売業者(事業所)を選任する必要があります。▶コラム:選任製造販売業者(DMAH)とは?
(3) 外国製造業者認定(FMR)の取得
外国の製造所で製造している製品を輸入販売する場合、国内製造業者の登録と同様に、「外国製造業者登録」を受けなければなりません。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)に外国製造業者登録申請を行い、厚生労働大臣に「製造販売承認」申請または登録認証機関への「製造販売認証」申請を行う必要があります。
医療機器を輸入する際に押さえておきたいポイントについては以下のコラムでもご説明していますので併せてご覧ください。
▶コラム:医療機器を輸入する際に押さえておきたいポイントを解説!
医療機器の輸送における注意点
医療機器を輸入する際には、法規制の対応だけでなく製品そのものの取り扱いにも細心の注意が必要です。精密機器や衛生用品で構成される医療機器は、輸送中の衝撃や振動に敏感であるため、適切な梱包や緩衝材の使用が求められます。また、一部の医療機器は低温環境や一定の湿度を保つ必要があり、コールドチェーン物流が必要になるケースもあります。さらに、輸送中のトレーサビリティも重要であり、特定の病院や医療機関に確実に届けるため、スムーズな輸出入通関や輸送状況の可視化が求められます。
鈴与の医療機器物流サービス
(1) 薬事申請から物流までトータルサポート
鈴与は第一種医療機器製造販売代行業務を行っているディーマー・メディカル・ジャパン株式会社と業務提携を行い、医療機器の薬事申請手続きから物流までのワンストップサービスを提供しています。医療機器製造販売業・製造業といったライセンスをお持ちでない場合でも、医療機器製造販売業・製造業の代行、物流体制の構築まで一貫して業務委託することができます。▶コラム:DMAH・MAHと連携したワンストップ医療機器物流サービスをご紹介!
(2) 安心・確実な国際輸送サービス
鈴与はUPS社と戦略的提携をしており、UPSが持つファシリティーのリセラーでもあります。UPSは米国内配送最大手であることに加え、キャリア運航、国際宅配便サービス、ヘルスケア商品を対象とした専門のカンパニーなども運営しており、高品質なグローバルサービスと鈴与の迅速かつきめ細やかなカスタマーサービスを通し、安心・確実な物流サービスをご提供します。
▶コラム:鈴与がUPSのリセラーとして取り扱っているヘルスケアサービスのご紹介
(3) ISO13485認証取得による高品質なサービス
鈴与ではISO13485:2016認証を取得しており、クラスⅠからクラスⅣまでさまざまな医療機器の取扱実績があります。鈴与では独立した組織として品質保証室を設置し、医療機器の取り扱いに熟知した専門スタッフがQMS(製造管理・品質管理)体制の構築およびGVP(安全管理)の運用を徹底サポートします。
▶医療機器物流サービス
医療機器の薬事申請や輸入手配、製造、物流に関して課題やお悩みのある方は、ぜひ一度鈴与へご相談ください。
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