2026.08.07

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医療機器の品質評価を支える分析法バリデーションとは?

研究員と分析作業.jpeg

医療機器の品質評価や性能評価では、分析結果の信頼性が重要です。その信頼性を支えるのが「分析法バリデーション」です。
鈴与では、ISO/IEC 17025認定試験所として、タンパク質定量分析を提供しています。認定取得の過程で分析法バリデーションに取り組んできた経験をもとに、本コラムでは医療機器分野で押さえておきたい分析法バリデーションの概要や評価項目、測定不確かさとの関係について解説します。 品質評価や性能評価に分析結果を用いる場合には、分析法自体の妥当性を確認し、分析結果の信頼性を確保することが重要です。分析法バリデーションは、日本薬局方やICH Q2にも記載されており、医療機器分野でも理解しておきたい考え方の一つです。

分析法バリデーションに関する主な文書

分析法バリデーションに関する公表文書としては、主に以下のようなものがあります。
・ICH Q2*「分析法バリデーション」ガイドライン
・第十八改正日本薬局方 第一追補
・分析法の妥当性確認に関するガイドライン(農林水産省)
*ICH:医薬品規制調和国際会議

初めて確認される場合には、比較的読みやすい農林水産省のガイドラインから参照すると、全体像を把握しやすくなります。

分析法バリデーションで評価する主な項目

分析法バリデーションでは、「分析能パラメータ」を評価し、分析法が目的に応じた性能を満たしていることを確認します。ここでは、ICH Q2「分析法バリデーション」ガイドラインを参考に、鈴与がISO/IEC 17025認定を取得しているタンパク質定量分析を例として、代表的な分析能パラメータについて説明します。

分析法バリデーションガイドライン.png











-:この実験は通常実施されない。
+:この実験は通常実施される。
†:一部の複雑なケースでは DL も評価することがある。
QL、DL:定量限界、検出限界
(1)その他の定量的測定は、範囲の下限値が DL/QL 付近の場合、不純物(純度試験)の 列に従うことができる。範囲の下限値が DL/QL 付近ではない場合は、定量法(含量又 は力価)の列に従うことができる。
(2)物理的化学的性質を測定する特定の分析法では、一部の分析能パラメータの評価を分析技術固有の妥当性評価で代替できる場合がある
(3)単一の分析法では特異性に欠ける場合には、妥当性を説明できない限り、他の関連す る少なくとも 1 つの分析法によって補完すべきである。(4)真度と精度を別々に評価する代わりに、組み合わせた手法を使用してもよい。
(5)室間再現精度を評価し、かつ室間再現精度のデータセットから室内再現精度を算出で きる場合には、室内再現精度を別途評価する必要はない。
*ICH Q2「分析法バリデーション」ガイドライン より引用

特異性

分析対象物を他の成分の影響を受けることなく正しく測定できる性能を指します。必要に応じてブランク 試料などを測定し、分析条件が適切であることを確認します。
類似する用語に、【選択性】があります。選択性とは、不純物などが存在する条件下でも、分析対象物を他の 成分と区別して測定できることを指します。

範囲

分析法が適切な真度および精度で測定できる濃度範囲です。

真度

測定結果が真の値にどの程度近いかを示します。既知量の分析対象物を添加した回収試験や、標準物質を用い て評価します。

精度

測定結果のばらつきを示す指標です。
・併行精度:同一の試験所、同一の測定者が、同一の装置で、短期間にサンプル を繰り返し測定した場合のばらつき
・室内再現精度:試験所内で測定者や装置などの条件をどれか1つ変えて同一のサンプルを測定した場合のば らつき
・室間再現精度:同じ方法を使って異なる試験室で測定した場合の分析値のばらつき

検出限界

分析対象物の存在を検出できる最低濃度

定量限界

十分な真度・精度を確保した上で定量できる最低濃度です。
分析法バリデーションでは、分析目的に応じて必要な分析能パラメータを評価し、分析法の妥当性を確認し ていきます。

測定不確かさについて

分析法の信頼性を考えるうえで、もう一つ重要なのが「測定不確かさ」です。
例えば、測定機器を校正に出した際、校正証書に「±〇%」などと記載されています。一般に、測定機器には規定値(真度)からのずれが存在します。そのため、測定結果は一定のばらつきが存在します。分析においても同様に、装置の状態、試薬、試料調整、測定者の操作など、さまざまな要因によるばらつきが存在し、測定結果に影響を与えます。
こうした要因を総合的に評価し、「測定結果がどの範囲で真値を含むと考えられるか」を示したものが拡張不確かさです。

ISO13485では、「拡張不確かさ」は明示的な要求事項ではありませんが、ISO/IEC 17025では要求事項とな っています。そのため、薬事申請においては、ISO/IEC 17025認定試験所による試験結果は、分析結果の信頼性を客観的に示す根拠の一つとして活用されることがあります。

まとめ

分析法バリデーションは、分析結果の信頼性を保証するために欠かせない取り組みです。 医療機器分野では製品や製造工程のバリデーションに注目が集まりがちですが、品質評価や性能評価に分析データを活用する場合には、分析法そのものの妥当性確認や測定不確かさの評価も重要になります。

鈴与では、ISO/IEC 17025認定試験所として、タンパク質定量分析をはじめとした分析サービスを提供しています。
分析結果の信頼性を重視した試験をご検討中の方や、分析法の妥当性評価についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。お客さまの目的や評価内容に応じて、最適な試験方法をご提案いたします。
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