2025.01.27
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- 医療機器物流
2025年医療機器業界トピックス!市場を取り巻く環境とその動向についてご紹介します

昨年11月、石破内閣は2029年までに最低賃金を1,500円まで引き上げることを目指すと発表しました。物価上昇は身近に感じられるようになり、超高齢化・人口急減に伴い生産年齢人口が減少し、今後ますます労働力の確保が難しくなるでしょう。
各業界で人手不足が叫ばれている中、医療機器業界における2025年問題と、それに係る医療機器の業界トピックスについてご紹介します。
医療機器業界における市場動向
数年来、国内医療機器の市場規模は拡大を続けてきました。厚生労働省が調査した医療機器における国内出荷額の過去5年間の推移データを見てみると、コロナ禍の影響が大きかった2020年は前年比で減少していますが、その後の国内出荷額は年々増加傾向にあり、2023年度は前年比8.7%増の4兆5,490億円となりました。2022年から2023年度には、診療や手術控えからの回復が見られ、内視鏡や超音波診断、検査や治療機器、画像解析システムなどの医療IT分野が好調に推移し、CTやMRIにおいても、半導体不足の影響から回復傾向にあると言えます。
また、日本の医療機器市場は輸入に依存した構造になっており、2023年の医療機器の輸入金額は3兆3,217億円(前年比13.8%増)、主な輸入国はアメリカ合衆国、アイルランド、中華人民共和国です。大型機器を中心に海外の大手医療機器メーカーの寡占市場となっているのが現状です。
輸出は1兆1,255億円(前年比2.9%増)で、内視鏡、医療用光源、眼底カメラなどを中心とする小型機器ではグローバル市場で過半数のシェアを有しています。2023 年に約 5,176 億ドルに達した世界市場全体で見ると、日本のシェアは約 5%と低く、最大シェアの約 47%を誇るアメリカ合衆国には大きく離されています。
今後の市場動向としてはこれまで日本の医療機器市場を支えてきた滅菌済み血管用チューブ・カテーテル、人工関節・人工骨等治療に用いる医療機器に加え、今後の新たな成長分野として、疾患の治療・診断・予防に直接的に効果を発揮するプログラム医療機器やデジタル技術と医療機器と融合したロボット手術などの分野が注目されています。
引用元 : 厚生労働省「令和5年薬事工業生産動態統計調査」 / 経産省「医療機器産業ビジョン2024」
医療業界における2025年問題とは
厚生労働省が発表した「我が国の人口について(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html)」によると、日本の人口は近年減少局面を迎えており、2070年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は39%の水準になると推計されています。
今年は1947年からの「第1次ベビーブーム」に生まれた団塊の世代が全員、75歳以上の後期高齢者となり、高齢化が一層進むことから「2025年問題」と呼ばれています。75歳以上の後期高齢者は今年約2,154万人(全人口の約18%)、2040年には約2,227万人(全人口の約20%)、2070年には約2,180万人(全人口の約25%)となると推計されています。
今後、後期高齢者のますますの増加、医療の進歩や生活水準の向上による平均寿命の延伸に対する医療や介護ニーズの高まりにより、医療機関の運営の効率化やAI診断や手術用ロボットの活用などのニーズが高まっています。
医療ICT (Information and Communication Technology)とは
2025年問題への取り組みとして、医療の質の維持と効率化を推進すべく、医療におけるICT化が注目されています。前述した医療機関の運営の効率化やAI診断、手術用ロボットには「医療ICT(情報通信技術)」が密接に関係しています。医療ICTとは医療分野で使用される情報技術(IT;Information Technology)や通信技術(CT;Communication Technology)の両方の概念を持つ、診療や管理、患者ケアを改善するためのシステムやツールのことです。以下に医療ICTの一例を挙げます。
高度化する医療機器
患者が自宅や介護施設など自分の生活環境で暮らしながら、スマートウォッチ、スマートグラスなどのウェアラブルデバイスを使って健康データ(血圧、血糖値、心拍数、体温、睡眠の質など)を収集し、そのデータを医療提供者がリモートでモニタリングできます。これにより患者は自身の健康状態を把握し、医師は必要な情報を基に治療を行うことができます。厚生労働省が「地域医療構想」に掲げる病床数削減のため、在宅医療への切り替えが推し進められており、今後も需要は拡大していくと考えられます。
また、ウェアラブルデバイスはネットワークに接続されており、高精度なデータをリアルタイムで医療提供者に共有可能なため、患者の異変を見落とすリスクを軽減します。また、健康データを人の手で取得する必要がなくなるため人手不足を補うことが可能となります。
AIロボットによる手術支援
医療現場では、2010年代から腹腔鏡手術に患者の体に配慮したダヴィンチなどのロボット支援手術が国内でも普及しています。人の手に代わりロボットで遠隔操作する技術に加え、今後はAIと連携することでより高度な手術を行えるようにし、手術を行う医師の負担を軽減することが期待されています。
鈴与の医療機器物流サービスについて
(1) 輸入手配から入出荷対応までワンストップで対応
医療機器の市場規模は今後も拡大することが見込まれ、医療機器事業への新規参入を考えている企業さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
鈴与では全国7カ所に医療機器物流の拠点を持っており、輸入手配から在庫保管、製造、入出荷対応までワンストップで対応が可能です。
複数の業者に物流委託をしている場合は、倉庫を1カ所に集約することで無駄な横持ちを削減し、全体の物流コスト削減に繋げることができます。
(2) 医療機器物流の豊富な経験と実績
鈴与はこれまで70社以上の医療機器物流・製造業務における豊富な経験および実績があり、クラスⅠ~Ⅳまでさまざまな医療機器を取り扱っています。医療機器製造業者・物流業者としてのノウハウを持っていますので、現在の物流を見直したい場合はもちろんのこと、これから新規で医療機器事業に参入を考えている企業さまにも安心してお任せいただけます。
鈴与では医療機器の入出荷や在庫管理だけでなく、滅菌前洗浄サービス、無菌バリア包装、貸出医療機器サービスなどもご提供しています。
(3) 薬事申請から物流までトータルサポート
鈴与は第一種医療機器製造販売代行業務を行っているディーマー・メディカル・ジャパン株式会社と業務提携を行い、医療機器の薬事申請手続きから物流までのワンストップサービスを提供しています。医療機器製造販売業・製造業といったライセンスをお持ちでない場合でも、医療機器製造販売業・製造業の代行、物流体制の構築まで一貫して業務委託することができます。▶コラム:DMAH・MAHと連携したワンストップ医療機器物流サービスをご紹介!
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