2023.08.01(最終更新日 2023.08.01 )

  • 物流用語

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?物流の仕組みを徹底解説

 

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、原材料や部品の調達から生産・販売まで、企業内または企業間の一連の取引・業務を一つのチェーン(鎖)と見立て、そのチェーン全体で一貫した戦略を実行し、流通経路における無駄を削減して売上機会の増大と経営の効率化を図る施策です。このページではサプライチェーンマネジメントの詳細について紹介していきます。

サプライチェーンとは調達から消費までを指す

サプライチェーンとは、商品の調達から消費までの一連の流れを指します。
具体的な工程は、調達→製造→在庫管理→流通→販売→消費です。

この一連の供給連鎖がしっかりとつながることで、消費者へ食べ物や機械を届けられます。

サプライチェーンの具体的な事例

ここでは、サプライチェーンの具体的な事例を説明します。

具体例1 スマートフォンの場合

スマートフォンのサプライチェーンは、まず必要な各部品(ディスプレイ、金属、半導体など)を世界中から調達することから始まります。その後、調達された部品は、中国や台湾などの各製造会社で組み立てることで製造されます。
完成した製品は、日本や世界各国に輸送・配送され、販売会社の元に送られることで、最終的には消費者の手元に届きます。

具体例2 自動車の場合

自動車のサプライチェーンも、同じ様に必要な各部品(金属、プラスチック、繊維など)を世界中から調達することから始まります。その後、調達された部品は各製造会社が組み立てることで製造されます。
完成した製品は、日本や世界各国に輸送・配送され、販売会社の元に送られることで、最終的には消費者の手元に届きます。

このように、仕入れから出荷、材料調達・製造・販売・消費などの一連の流れを指すのがサプライチェーンです。

サプライチェーンマネジメントの意味と効果について

ここでは、サプライチェーンマネジメントの意味や効果について紹介します。

サプライチェーンマネジメントの意味と効果.jpg

サプライチェーンマネジメントは経営管理手法のこと

サプライチェーンマネジメントとは、サプライチェーン全体を管理することで最適化し、効率よく商品を供給する経営管理手法のことです。

サプライチェーンマネジメントを導入する際には、物、お金、情報の流れを連携させ、最適化しなくてはなりません。
そのため、メーカーや物流業者、エンドユーザーまでのサプライチェーン全体を管理する必要があります。
協力会社や関連部門全体を統括し、管理をするサプライチェーンマネジメントでは、広範囲な視点を持つことが重要です。

サプライチェーンの効果は経営基盤を強化すること

サプライチェーンマネジメントを導入することで、経営基盤の強化が期待できます。
経営基盤を強化するためには、コストを削減し効率よく売上を拡大することが重要です。

コスト削減には、過剰生産をなくし、売れ残りによる在庫を減らす必要があります。

製品の作り過ぎや売れ残りは、原材料費のロスや在庫管理コストの増加の原因です。
しかし、サプライチェーン全体の管理ができていれば、過剰生産によるコストを削減できます。

また売上の拡大には、需要期を逃さずに適切な量の商品を供給することが大切です。
生産量や供給のタイミングは、販売状況や消費者動向などの情報をリアルタイムに分析し、無駄のない量を生産しなくてはなりません。

生産部門だけではなく、配送部門とも情報を共有し、適切な量を適切なタイミングで供給することが重要です。
このような部門間の連携が、売上アップにつながります。

サプライチェーンマネジメントが必要とされる3つの背景

サプライチェーンマネジメントが求められている背景には、主に3つの理由があります。

サプライチェーンマネジメントが必要とされる背景.jpg

1. 社会のグローバル化

経済や企業のグローバル化が進んだ現在において、製品の流れをどのように構築していくかは、企業にとって重要な課題です。

たとえば、複数の国から部品や材料を輸入し生産したり、複数の国をまたいで生産したりすることも珍しくありません。
このようなグローバル社会では、物・お金・情報の管理ができない企業は、生き残れない可能性が高いです。

サプライチェーン全体の管理ができるサプライチェーンマネジメントは、グローバル化した世界経済では、今後さらに必要とされるでしょう。

2. 情報技術の発展

情報技術の発展により、膨大な情報がオンライン上で扱われています。
いわゆるビッグデータの中には、顧客データも含まれており、これらの情報を活かした施策は、情報化社会の中では重要です。

マーケティングや商品開発など、さまざまな部門の活動において、ビッグデータは大変役立ちます。
このような膨大なデータをしっかり管理し、サプライチェーンに活用するためにも、統括的な情報管理が必要です。

3. 人手不足

少子高齢化が進む日本では、労働人口の減少が予測されており、物流業界でも人手不足が懸念されています。
そこでサプライチェーン全体を最適化し、無駄な作業をなくすことで、少人数でも物流システムの維持が可能です。

物流業界の人手不足に対応するためにも、業界全体の効率化を図るサプライチェーンマネジメントは、注目されています。

サプライチェーンマネジメントの3つの利点

サプライチェーンマネジメントでは、リードタイムの削減や、適切な在庫管理が可能です。
ここでは、これらサプライチェーンマネジメントの3つの利点について解説します。

1. 生産・製造に要するリードタイムの削減

サプライチェーンマネジメントでは、生産や製造に必要な期間であるリードタイムの削減が可能です。
業界全体の最適化が可能なため、生産プロセスで発生する無駄な作業を削減できます。

リードタイムの削減により、需要の高い商品を最適なタイミングで、消費者へ届けることが可能です。

2. 適切な在庫管理の実現

サプライチェーン全体の管理をおこなうことで、適切な在庫管理が可能です。
在庫は、企業の資産ですが、需要時期を逃すと売れず、赤字になることもあります。

在庫数が多くなればなるほど、売れ残ったときの損失は大きくなるでしょう。
しかし、少なすぎる在庫数では、供給に追いつかなくなり、需要はあるのに商品がなく機会損失へつながる可能性があります。

在庫管理では、市場の需要に見合った在庫数を保管することが重要です。
サプライチェーン全体の管理ができるサプライチェーンマネジメントをしっかりおこなうことで、最適な在庫数管理ができる利点があります。

3. 売上の向上

適切な在庫管理により、余剰在庫を減らし、需要期には適切な量を生産することが可能になるため、機会損失を減らすことにつながります。

機会損失が減ることにより、全ての商品を売り切ることで売り上げの拡大が可能です。

【まとめ】サプライチェーンの流れを最適化しよう

サプライチェーンとは、商品の調達から消費までの一連の流れのことです。
この流れを最適化するサプライチェーンマネジメントを導入することで、適切な在庫管理などが見込めます。

しかし、導入するためには、システムの構築や従来の体制の見直しなど、さまざまなコストが必要です。
サプライチェーンマネジメント導入の費用対効果をよく検討することが大切です。

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